大分・由布院温泉 名物のクレソン、爽やかで色も鮮やか

夕方の光に包まれる草庵秋桜の露天風呂

由布院(由布市)といえば全国屈指の人気温泉地。見目麗しい由布岳をバックに広がる温泉街は、どこを写真におさめても絵になる。美しい景観の街として日本の代表的な観光地だ。また、由布院玉の湯、亀の井別荘、山荘無量塔(むらた)などの旅館も、全国的にも知名度が高い。

実は、由布院は湯もいいのだ。由布岳の恩恵を受けて、日本でも有数の湧出量を誇る。泉質は単純温泉。湯が単純なわけではない。老若男女、どんな人でも安心して入浴できる優しい湯で、何度入っても飽きないし湯疲れしない。

この単純温泉は、きれいな水がある土地で湧くことが多く、そのきれいな水が流れる川にはクレソンが自生している。「クレソンって、おいしい」と思ったのは初めて由布院を訪ねたときのことだった。それまでクレソンといえば、ステーキの添え物くらいにしか思っていなかった。高原野菜などの数々のおいしい料理が並ぶなか、玉の湯で食べたクレソンがたっぷりと入った鍋が忘れられないのだ。

クレソンの花は5月ごろに咲く

「春先のクレソンは、柔らかくておいしいよ」と聞いていたので由布院へ出かけた。

「川に自生し、鶏の餌だったのですが、山本健吉さん(文芸評論家)が『おいしいよ』と言ってくださり、由布院のなかでもクレソンを見直すようになりました。その後、料理研究家の辰巳芳子さんがクレソンの『いのちのスープ』を作ってくださり、クレソンが名物として定着しました」と、玉の湯のご主人の溝口薫平さんが話してくれた。

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