石綿が肺に入り発症 中皮腫の治療法を探る

アスベスト(石綿)が肺に入り込んで発症する悪性胸膜中皮腫は、治療が非常に難しいがんだ。年間の死亡者は1000人を超え、今後も増加が見込まれる。効果的な治療法開発に向けた取り組みが始まった。

悪性胸膜中皮腫は肺を覆う胸膜のうち胸壁側の胸膜にある中皮細胞にがんができる。石綿を吸い込んでから約20~50年後に発症するため「静かな時限爆弾」ともいわれる。石綿は断熱性などに優れ、高度成長期を中心に建材などに幅広く使われた。日本で使用・製造が全面禁止されたのは2006年。このため20~30年ごろには患者数がピークに達し、現在の数倍になる可能性も指摘されている。

早期発見が重要で、造船関連などかつて石綿を使っていた工場が多い地域では、健康診断などで早く見つかる例もある。しかし、「全国的にみれば、進行してから見つかるケースがほとんど」と、国の石綿健康被害判定部会の委員を務める岸本卓巳・岡山労災病院副院長は指摘する。中皮腫患者の5年生存率は早期がんなら約15%だが、進行していたらほぼ全員がなくなるという。

手術は患者の1割

外科手術と抗がん剤使用が治療の基本。手術はがんがある片側の肺と胸膜をすべて摘出する。都内在住の50代女性のA子さんは約2年前に中皮腫が見つかり、家族の住む関西で治療を受けた。主治医の中野孝司・兵庫医科大学教授は、手術可能と判断し、抗がん剤と放射線も組み合わせた治療を実施した。A子さんは今のところ再発もなく日常生活を送っているという。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント