栄養豊富な春の山菜、苦みが胃腸の働き促進

厳しかった今年の冬の寒さもようやく峠を越えた。雪解けの山里の恵みといえば、ふきのとう、たらの芽といった山菜の味覚だ。最近では、スーパーや百貨店の野菜売り場でも手に入る身近な食材となった山菜は、栄養成分の豊富な健康食材でもある。山菜の健康成分の上手な利用の仕方について専門家に聞いた。

優れた健康食材

「君がため春の野にいでて若菜つむわが衣手に雪はふりつつ」。百人一首で春の喜びを表した光孝天皇の名歌だ。新鮮な野菜類が少ない冬を乗り切った人々にとって、芽吹いたばかりの山菜は貴重な栄養源であったのだろう。実際、最近の栄養学の研究成果によって、山菜類が優れた健康食材であることが分かってきた。

健康や栄養に関する情報データベースを運用している国立健康・栄養研究所情報センターの梅垣敬三センター長は「地域の特産品を含めて、個々の山菜の栄養分析が進んでいる。その結果を見ると、低カロリーで食物繊維が豊富だ。種類によって差はあるが、ビタミンやミネラルなども豊富に含んだ野菜であることが分かった」と話す。

情報センターでも、鳥取県で栽培されているシオデ(牛尾菜)という山菜の分析を行っているが、アスパラガスと同程度の高い栄養価が認められた。

しかも、春の山菜が、通常の野菜と異なるのは香りが高く独特な苦みやコクを持つものが多いことだ。きのこや山菜の生産に関する業界団体である日本特用林産振興会では林野庁の補助事業として山菜の専門家「山菜アドバイザー」の養成を行っているが、その一人である神奈川県横須賀市の荻田毅さんも「こうした風味によって厳しい冬を乗り越えた山菜の力をいただき、体が動き出すのを感じる」とその魅力を話す。

ではどのような栄養成分がこうした山菜パワーのもとになっているのか。日本特用林産振興会では、栄養学の専門家が発表した約100件の研究論文を基に山菜の健康成分をまとめ公開している。

例えば、苦みを楽しむ山菜の代表がふきのとうだが、特有の苦みをもたらす成分は、フキノール酸、ジカフェオイルキナ酸など抗酸化作用の高いポリフェノール類であることが分かった。生活習慣病の原因にもなる体内の酸化ストレスから守る作用があるとともに、苦みは胃腸の働きを促したり精神的ストレスの改善などにも効果が期待できるという。こうしたポリフェノール類が多いのも山菜の特徴のひとつだ。

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