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静電気と無縁に服を着こなしたい

2010/12/17 日本経済新聞 プラスワン

 空気が乾燥しがちな冬は静電気が気になる季節。ドアや車の取っ手を触ったときにピリッときたり、スカートがまとわりついたり。あの不快感から逃れるには、どうすればよいのだろうか。専門家にアドバイスをもらいながら、いろいろな対策を試してみた。

 周りを見ると、静電気によく悩まされる人と、そうでない人がいる。これは体質のせいなのか。静電気学会の会長を務める東京大学の小田哲治教授に聞くと、「汗をかきやすい人は、その水分を通じて電気が逃げるので、静電気はたまりにくいはず」と話す。ただ、それだけではなく「化学繊維のセーターを着ている人も静電気に悩まされやすい」と教えてくれた。

 まずは静電気の仕組みを理解した方がよさそうだ。「一般的には、2つの物体の摩擦などによって、一方の物体の表面から他方に電子が移動する。これを帯電といい、帯電状態で物体を離すと両物体の表面に静電気が生じる。その電圧が高いと放電が起こってバチッと音がしたり、火花が飛んだりする」(小田教授)

 例えば、服を重ね着して体を動かすと、服の素材がこすれ合って表面が帯電する。そこで上着を脱ぐと、上着と内側の服が離されるので、それぞれに静電気が発生する。ところが、小田教授によれば「繊維の素材によって、摩擦した際の帯電の起こりやすさが異なり、静電気の大きさに影響する」という。

素材組み合わせ変えラジオ体操

 そこで、服の素材の組み合わせを変えて、発生する静電気の大きさを測ることにした。ただ、化学繊維といっても種類は様々で、天然素材のウールの服を着ていても静電気でほこりが付くことがある気がする。繊維の種類の違いによる帯電の傾向を知っておいたほうがよさそうだ。

 ライオン生活者行動研究所を訪ねて消費生活アドバイザーの小林衣子さんに聞くと、「服に使う繊維の中で、帯電しやすいのはポリエステルやナイロン、ウールなど。特にポリエステルとナイロン、ポリエステルとウールの組み合わせは要注意」との答え。

 一方で、綿やシルク、麻などの天然素材は吸水性が高いこともあり、静電気がたまりにくい。また、ジャケットやコートの裏地に使うキュプラは化学繊維だが、吸水性が高く、ウールと組み合わせても静電気が起きにくいという。

 静電気が起きやすい服の傾向が分かったので、実験へ。記者自身が綿(コーデュロイ)のシャツとズボンをはき、その上に重ね着した2種類の上着に発生する静電気を測定器で測ることにした。静電気を起こす方法はラジオ体操。服を変えても同じ動きを繰り返すにはうってつけだ。試しにポリエステル素材のフリースを着ながら体操をすると途中でバチバチときた。「これはいける」と、この時ばかりは静電気の発生がうれしかった。

 結果は下の表の通り。静電気の大きな発生源となったのはポリエステル素材100%のフリースで、最も高い値を示した。一般的に静電気の値が2000ボルトを超えると、金属を指先で触った場合などに流れる電流で指先にピリッと刺激を感じることがあるという。

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