公的年金、窓口で断られてもあきらめないで

受け取れると思った公的年金や公的医療保険がもらえない――。こんなときに不服を申し出ることができるのが社会保険の審査請求制度だ。年金への関心の高まりなどにつれて、審査請求件数は急増中。ただし有利な判断を受けるには、事前の準備が欠かせない。

「社会保険審査制度を使って障害年金などが認められるケースは少なくない」。社会保険労務士の山下律子さんは振り返る。都内に住む知的障害者の男性が、最初に国民年金の障害年金を申請したのが昨年秋。しかし、それほど重い障害ではないとして不支給となり、山下さんを訪れた。

山下さんが医師の診断書を見ると、障害2級に十分該当する内容だったが、問題は本人が日常生活の不便さなどを保険者(社会保険の運営主体)に説明する申立書。知的障害のある本人に代わって母親が書いたが、具体的にどの程度生活に困っているかについて触れていなかった。

職場までの短い距離でさえ通うのが大変であることや、職場も親せきに無理に頼んで働かせてもらっているといった実情を山下さんが詳しく聞き出し、社会保険審査官に請求を出した。

すると10月になって、「不支給とした裁定を取り消して障害2級と認めるので、審査請求を取り下げるように」という連絡が来た。男性は12月から年間80万円弱の障害年金を過去分もさかのぼって受け取れることになった。

このように実態が支給に該当する場合でも、書類の記入不備などで支給されないことはある。「職員の知識不足やミスで不支給になっている例すら結構ある」(社労士の安部敬太さん)という。

手続きは無料

社会保険審査制度(仕組みは図A)の対象は国民年金、厚生年金、健康保険(会社員などの保険)、船員保険。不服があってもいきなり訴訟はできず、まず社会保険審査制度を使う。目立つのは障害年金や傷病手当金、遺族年金などに関する不服だ。

制度は保険料の徴収など一部を除き、審査と再審査の2段階。まずは地方の厚生局に属する「社会保険審査官」の審査を受け、それでもなお不服であれば厚生労働省にある「社会保険審査会」に請求する。結果はいずれも数カ月程度で通知されることが多い。手続きは無料で、有料だが社労士や弁護士などを代理人に依頼することもできる。

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