腰の神経圧迫も

糖尿病と同様に、こむら返りが多く表れるのが、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症だ。背骨にある神経を包む管である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて様々な症状が出る病気で、50歳以降で多い。

脊椎脊髄外科が専門の国際医療福祉大学三田病院・整形外科の福井康之部長は次のように解説する。「脊柱管狭窄症患者に行った調査では、約7割にこむら返りを認め、夜間就寝中に起こるケースが7割以上で、頻度は数日に1回が最も多かったという報告がある。脊柱管狭窄症の場合、間欠跛行(はこう)も特徴的な症状。歩くと脚がしびれて痛くなるが、休むと楽になる症状だ」

こむら返りを繰り返し、間欠跛行があれば、整形外科、特に脊椎脊髄を専門とする医師のいる医療機関を受診するといい。

このほか、女性に多い甲状腺機能低下症でも、こむら返りを起こす。「手足の冷えも訴える人では、甲状腺機能低下症だったケースが少なくない」と漢方治療を行う青山稲木クリニックの稲木一元院長は語る。

こむら返りを予防するために効果的なのが、つってしまう筋肉のストレッチだ。運動前や就寝前などに、左上図のようなストレッチをするといい。「脊柱管狭窄症では術後もこむら返りが起こることが多いが、日常的につりやすい筋肉を十分にストレッチしておくと、それが防げる。ラジオ体操でも効果がある」と福井部長はアドバイスする。

一方、糖尿病の場合は血糖のコントロールが一番。「血糖が安定すると、起こさなくなる」(松岡医師)

これから寒さが増すと、こむら返りを起こしやすい。もし、繰り返すようなら、軽視せず、医療機関の受診をすすめる。

(ライター 武田 京子)

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芍薬甘草湯もおすすめ

ストレッチ同様、こむら返りの予防に効果的なのが、漢方薬の芍薬甘草(しゃくやくかんぞう)湯だ。「ゴルフなどの運動前や、就寝前などに服用しておくと、こむら返りを防げる」と稲木院長は語る。

芍薬甘草湯が効く理由は明らかではないが、芍薬の筋肉を弛緩(しかん)させる作用と、甘草の血行を改善し炎症を抑える作用の効果だと考えられている。芍薬甘草湯は薬局でも購入できるので、こむら返りを起こしやすい人は試してみるといいだろう。

ただし、甘草を多量に長期間使い続けると、血中のカリウム濃度が下がる副作用が出る恐れがあるので、漫然と服用するのは避けたい。

[日経プラスワン2010年12月4日付]

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