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体内時計正す新睡眠薬 鎮静・抗不安作用に頼らず 生活習慣病の対策にも

2010/11/13 日本経済新聞 夕刊

 鎮静作用や抗不安作用に頼らない新タイプの睡眠薬が登場した。不眠の原因の一つとなる体内時計の乱れを正し、寝付きや眠りをよくするという。専門家らは副作用も少ないとみている。不眠が続くと高血圧症や糖尿病などを悪化させるという指摘もあるなか、生活習慣病対策として活用しようとする試みも始まった。

不眠症治療薬「ロゼレム」はこれまでとは違う仕組みで眠りを誘発する

 新しい不眠症治療薬は武田薬品工業が7月に発売した「ロゼレム(一般名ラメルテオン)」。脳の松果体からメラトニンが出て視交叉(こうさ)上核にある体内時計の中枢にスイッチが入る状態を疑似的に再現する。メラトニンは眠りを誘発する物質として知られ、日中はほとんど出ず、夕方からだんだんと分泌されるようになる。

昼夜逆転が改善

 日本大学医学部の内山真主任教授(精神医学)はこの夏以降、若い世代に多い不眠症であるリズム障害の患者を対象に、ロゼレムを使ってきた。

 例えば、朝方4~5時までに眠れず、逆に昼ごろまで起きられずに完全に昼夜逆転した「概日リズム睡眠障害」の患者に処方、服用を続けてもらったところ、次第に夜になると眠くなるようになり、症状が改善された。

 内山主任教授は「いわゆる体内時計が乱れたリズム障害の傾向が強い不眠症の人にはロゼレムはよく効きそうだ」と話す。

 ひと言で不眠といってもその原因はいくつかある。体内時計の乱れのほかに、緊張や不安、寝過ぎなどで、寝付きが悪くなったり夜中に何度も目が覚めたりするようになる。

 国内の不眠症治療で今、よく使われているのがベンゾジアゼピン系睡眠薬だ。入眠時のリラックス効果や抗不安作用、目覚めたときの爽快(そうかい)感など、薬が合えば熟睡感が得られる。

 半面、半ば鎮静作用を利用して強引に「眠らせる」ため、服用後の記憶喪失や、ふらつき・転倒といった筋弛緩(しかん)作用、途中でやめると不眠がひどくなる常習性といったマイナス面も見過ごせない。

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