黒くない道路、最近よく見るね

「この間、ママに連れられて銀座の歩行者天国を歩いたんだけど、道路の色が普通と違っていたわ」。事務所に遊びに来た伊野辺詩音の一言に松田章司が振り向いた。「そういえば最近黒っぽくない道路をよく見かける。何かありそうだぞ」
灰色の遮熱性舗装をした銀座の中央通(右側が遮熱性、左側が普通のアスファルト)

2人は詩音が買い物をした東京・銀座に向かった。1丁目から8丁目に延びる中央通りは灰色。交差する晴海通りは黒いアスファルトを敷き詰める見慣れた舗装で違いは一目で分かる。

「見た目にも涼しげとお客さんに評判です。真夏でも、もわっとした嫌な熱気をあまり感じません」と軒を並べる文具店、東京鳩居堂の高橋雄貴さん(29)。

2人は東京・秋葉原の電気街や渋谷でも灰色の道路を見つけた。秋葉原では電気街を南北に貫く中央通りの300メートルが灰色だった。「確かに灰色道路は増えている。でも気温や熱となぜ関係あるのかな」

表面10度低く

首をかしげる章司に道路が専門の中央大教授、姫野賢治さん(54)が声をかけてきた。「どれも、温度を下げる遮熱性舗装というものです。太陽熱と光を反射させ、道路表面の温度を下げる効果があります」

道路舗装会社のNIPPOにも聞いてみた。同社の山岸宏さん(45)は「熱の原因となる赤外線などをはね返す素材を入れた遮熱材を道路表面に吹き付けています」。これで夏場の日中には表面温度が10度程度低くなる。遮熱材の多くが灰色。目に優しく、白の停止線などと見分けやすい。

遮熱性の舗装はヒートアイランド現象を抑える効果が期待されている。ヒートアイランドは都市部で気温が高くなる現象のこと。道路にこもった熱が熱帯夜の原因になる。「街を冷やすため、道路が変身していたのね」と詩音は納得した。

そこに道路舗装の大成ロテック、野村健一郎さん(58)が声をかけてきた。「水をためる保水性舗装というのも増えています」。表面に小さいすき間がたくさん空き、内部にたまった雨水が徐々に蒸発して気温を下げる。夏の暑さを紛らす知恵である打ち水と同じ原理なのだという。素材のせいでやはり灰色に見える。