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外出時に災害、持ち物で備え 「財布に5万円以上」理想だが…

2010/9/30 日本経済新聞 朝刊

台風や浸水、地震など、自然災害が気になる季節だ。家庭内での防災対策はもちろん大切だが、外出時に災害に遭った場合の備えはどうだろう? 交通機関がストップした時、どうやって帰宅するか。家族と連絡を取るには――。普段から災害時を意識して持ち物に少し工夫するなど、万が一に役立つ知恵をまとめた。

災害時には、コンビニやスタンドが水道やトイレを提供してくれる(目印のステッカー)

もしもの時、頼りになるのはやはり現金。10年ほど前、旅先で震災に遭ったという40歳の女性は、「滞在していたホテル近くのスーパーが特別営業してくれたが、支払いは現金しか受け付けてもらえなかった」と振り返る。当座の飲み水や食料を買うのに、持っていた現金のありがたみが身にしみたという。

普段「3万円以下」

日経生活モニターに登録している読者に9月中旬にインターネットでアンケートしたところ、「外出先で災害に遭った場合、手元にいくらあれば安心か」という質問に最も多かった回答は「5万~10万円」の34%だった(グラフ参照)。「3万~5万円」(27%)、「10万~20万円」(21%)がこれに続き、最高額は200万円(東京都の女性会社員、40)だった。

「多ければ多いほど安心」(福岡県の専業主婦、56)、「安心に限界はない」(東京都の70歳代男性)といった意見がある一方、「交通がストップした時にビジネスホテルに泊まれるくらいの金額は用意したい」(岡山県の50歳代の専業主婦)と具体的な事態を想定した答えも。「長財布のほか、小銭入れも持ち歩いている」(新潟県の40歳代の女性)という人もいた。

一方、財布の中に普段どれくらいの現金を入れているかを尋ねたところ、8割近くが「3万円以下」と回答するなど、災害時に必要と考える金額を大幅に下回った。常日ごろから災害を意識しながら生活するのは難しいことが、回答からも浮かび上がる。

とはいえ、災害時に現金さえ持っていれば大丈夫かというと、必ずしもそうとはいえない。阪神大震災に遭ったという兵庫県の女性会社員(44)は、「お札しか持っていなかったので、釣り銭切れで自動販売機が使えずに困った」という。釣り銭切れでお札が使えなくなった自動販売機は、硬貨でちょうどの額を用意するか、「停電でなければ電子マネーが使える場合もある」(自動販売機大手の富士電機リテイルシステムズ)。

自販機の中には、災害時に無償で飲料などを取り出せるよう設定できる「災害救援ベンダー」という機種もあるが、全国に約260万台ある自販機のうちで1%未満。被災時に見つかるのは期待薄だ。

電子マネーは停電などで決済端末が利用できなくなれば使えないが、「これまでに災害が原因で使えなくなったという事例は把握していない」とEdy(エディ)を運営するビットワレットは説明する。店舗が水没するなどして端末が使えなくなれば別だが、決済にデータセンターとの通信が必要なクレジットカードと異なり、電子マネーの場合は個々の決済がオフラインで完結する。災害時には比較的「使える」手段とみていて良さそうだ。

公衆電話を使う場合も、小銭が有効な場合が多い。災害時は携帯電話の利用が集中するためつながりにくくなることが多く、比較的つながりやすいとされる公衆電話を探す人が多くなりそう。2000年9月の東海豪雨に遭遇した30歳代の女性は、「携帯電話がつながらなかったので公衆電話で家族に連絡した。持っていた小銭が役に立った」という。

NTT東日本によると、停電時は公衆電話でテレホンカードが使えなくなるが、緑色のアナログ公衆電話だと硬貨による通話が可能(電話回線が通じている場合)。灰色のデジタル公衆電話も搭載しているバッテリーが切れるまでは硬貨が使えるという。

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