時間生物学の概念を取り入れ、哺乳類ごとの体重や心拍数、心周期(1心拍にかかる時間)と寿命との関係を分析し、人間が一生の間に打つ心拍数は「23億回」とはじき出した。1分間脈を測り、その数で割れば、寿命(分)がわかる。心拍数が60回で約73年、70回で約63年、80回で約55年になる。

脈が速いと死亡リスクが高くなるとの研究報告が国内外にいくつもある。東北大学の研究グループは2004年、岩手県大迫町(現在は花巻市)の追跡調査で、血圧が正常でも心拍数が1分間に70回以上の人はそうでない人よりも心臓病による死亡リスクが約2倍になる、と公表した。

米国の高血圧患者約4500人を36年間追跡した調査では、心拍数の増加に伴い心臓病死する割合が高くなった。心拍数の減少で様々な病気による死亡率が減るというイタリアの報告もある。

ただ、心臓病の専門医の間では、人間の一生の心拍数に決まった限界があるとの考えに否定的な意見が多い。心拍数の増減は自律神経に左右されており、一部の不整脈のように心臓自体に問題があることは少ないからだ。

人間の心臓は1分間に60~80回の収縮・拡張を繰り返し、体全身に血液を送り届けている。右心房にある洞結節で電気信号が作られ、ペースメーカーとなって規則正しく拍動する。この洞結節を制御するのが自律神経。運動やストレス、緊張で交感神経が優位になると、どんどん電気信号が作られ、脈拍が上がる。逆にリラックスして副交感神経が優位だと、脈拍が下がる。

生活習慣病に注意

国際医療福祉大学三田病院の小川聡病院長は、脈拍を速くする主な要因として(1)喫煙(2)肥満(3)高血圧(4)糖尿病――をあげる。「いずれも自律神経のバランスを崩しやすい。脈が速いから短命になるのではなく、速い人は生活習慣病を抱えているケースが多く、結果的に死亡リスクが上がるのだろう」と解説する。

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