日本人の食物繊維の摂取量はじわじわと減っている。1日平均約15グラムで戦後すぐと比べると、およそ半分。今や米国人よりも低い。とくに穀類からの摂取量が顕著に減少した。若い世代で不足が目立つ。大妻女子大学の池上幸江名誉教授は「朝と晩の主食のごはん(精白米)に大麦(米粒麦)を2~3割混ぜるだけで、摂取量は改善する」とアドバイスする。

関東学院大学の倉沢新一教授は「サプリメントに頼るとある決まった食物繊維しかとれない。主食、野菜、果物からたくさんの種類の食物繊維をとるようにすれば、未知の健康効果も期待できる」と話す。

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「第6の栄養素」 国際的な定義なし

たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルにつぐ「第六の栄養素」ともいわれる食物繊維。すでに古代ギリシャの時代に便秘予防にいいと知られていたようだが、その後は長年、「しょせん食べ物のカスで必要な栄養素まで出してしまう」と考えられてきた。

1970年代に英国人研究者がアフリカで行った現地調査をきっかけに、健康食材として注目されるようになった。欧州の人に比べてアフリカの人に大腸がんが極端に少ないのは、食物繊維をたくさんとっているからだと説いた。

ただ、この仮説はいまだに立証されないまま。この10年はむしろ予防効果を否定的にみる疫学研究結果が国内外で相次いだ。糖尿病や心臓病の発症リスクを下げるとの報告やアレルギー疾患を予防できるとの見方もあるが、どれも希望的観測の域を越えていない。

実は食物繊維の定義を巡っては国際的に統一されたものはない。日本国内では日本食物繊維学会が「ルミナコイド」という造語を使って「小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康維持につながる生理作用を出す食物成分」と広義にとらえている。

合成・加工してつくるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維とみなし、よく健康食品に含まれる。

(編集委員 矢野寿彦)

[日経プラスワン2010年9月11日付]

たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルにつぐ「第六の栄養素」ともいわれる食物繊維。すでに古代ギリシャの時代に便秘予防にいいと知られていたようだが、その後は長年、「しょせん食べ物のカスで必要な栄養素まで出してしまう」と考えられてきた。

1970年代に英国人研究者がアフリカで行った現地調査をきっかけに、健康食材として注目されるようになった。欧州の人に比べてアフリカの人に大腸がんが極端に少ないのは、食物繊維をたくさんとっているからだと説いた。

ただ、この仮説はいまだに立証されないまま。この10年はむしろ予防効果を否定的にみる疫学研究結果が国内外で相次いだ。糖尿病や心臓病の発症リスクを下げるとの報告やアレルギー疾患を予防できるとの見方もあるが、どれも希望的観測の域を越えていない。

実は食物繊維の定義を巡っては国際的に統一されたものはない。日本国内では日本食物繊維学会が「ルミナコイド」という造語を使って「小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康維持につながる生理作用を出す食物成分」と広義にとらえている。

合成・加工してつくるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維とみなし、よく健康食品に含まれる。

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