2010/9/17

暮らしの知恵

窓を開け扇風機 乾燥は念入りに

今回はボディーソープのほか、革製品の水洗いに使われるサドルソープ(皮革用せっけん)、ネット通販などで手に入る靴洗い専用洗剤も試した。結果はそれぞれ合格点。保湿や除菌成分が配合されるなどの利点はあるが、やや値が張るのが難か。ボディーソープで代用可能と感じた。

失敗もあった。ヌバック(起毛革)の靴の何足かは一面にカビ。根絶やしするには水洗い後、弱アルカリ性の粉末漂白剤の溶液(濃度5%)に30分浸してからタオルで巻き、洗濯機で1分間脱水したのちに乾燥させる方法がある。が、黒と茶の靴を同じ溶液につけたため、流れ出した黒の染料が茶の靴の色味を変えてしまった。「無精はいかん」と痛感。色を補う仕上げ工程でなんとかなるか。

それぞれ片方だけを洗い終えた靴を急ごしらえの“乾燥室”に持ち込む。クリーニングに付いてくる針金ハンガーを曲げて靴をつるし、扇風機の風を当てる。部屋の窓を開け放して風も通す。生乾きでカビが生えてしまうなど「家庭では乾燥の失敗が大半」との教えを肝に銘じ、セッティングには時間をかける。

48時間後。靴はどれも完全に乾いたが、状態はばらばらだ。ツヤのある革は比較的良好なものもあるが、起毛革は硬くパリパリした手触り。いずれにしてもクリームや補色剤を使った丁寧な仕上げが欠かせない。ツヤ革はさらにシリコン配合スポンジで磨くと、光を反射する輝きが戻った。

すべての工程が済んだ靴を水洗い前の片割れと比べれば“復活”ぶりは明らか。水洗い自体はコツらしいコツもなく、むしろ乾燥と磨き上げに時間と手間がかかる。それさえ惜しまなければ今後、水虫の心配はぐっと減りそうだ。

記者のつぶやき
 革靴をジャブジャブ洗うなんて――。そんな思い込みはあっさり覆された。実験後はむしろ、洗わず履き続けるのが不潔に思える。とはいえ、デリケートな皮革だけにリスクは付き物。お気に入りの1足はやはりプロに頼むべきだろう。さぁ、比較のため洗わずにおいた片割れたちもキレイに洗ってやらねば。
(編集委員 天野賢一)

[日経プラスワン2010年9月11日付]

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