職場で街でハイタッチ 欧米流“あいさつ”広がる

行列した客を店員がハイタッチで歓迎(東京都中央区の「アップルストア銀座」)

同僚とのあいさつはハイタッチ、営業目標を達成すれば握手攻め――。職場や街中で、こんな光景を目にするようになった。欧米流ボディーランゲージには言葉以上に思いが伝わる良さがあるが、日本人はこうした身体接触が苦手だったはず。「触れ合い」を求めるようになったわけとは。

「周りの4人以上の人とハイタッチをしましょう」。毎朝8時半にはじまる、老人保健施設「小名浜ときわ苑」(福島県いわき市)の朝礼。施設長の鯨岡栄一郎さん(39)の声を合図に、十数人の職員同士が勢いよく、手と手を合わせる「ハイタッチ」を交わしていく。

「つながり実感」

高齢者の介護やリハビリをする同施設がハイタッチを取り入れたのは、4月のことだ。「朝は心も体もエンジンがかかっていない。野球選手がホームランを打った時のように、ハイタッチをすれば瞬時に気分が盛り上がるんじゃないかと考えた」(鯨岡さん)

きつい仕事といわれがちな介護業界で、鯨岡さんは若手職員のモチベーションを高める仕掛けを考えてきた。「仕事を楽しむ雰囲気が生まれ、施設内が活気づく」。最近では円陣を組むなど、アレンジする人も出始めた。

日本にはもともと、ハイタッチや握手の習慣が根付いていない。だが、職場や若者のコミュニケーションに詳しい、第一生命経済研究所副主任研究員の宮木由貴子さんによれば「最近、他人と触れ合うことへの抵抗が薄れてきた」のだという。インターネットの普及で交友関係が広く浅くなり、他者との心理的な距離が縮まっている。「ドラマやスポーツ中継でハイタッチなどを見て育ち、自身も親からスキンシップを受けてきた30代以下世代は、触れ合いを受け入れやすい」と見る。