再生医療 臨床研究に難題厚労省指針に現場から悲鳴「負担大きい」「審査遅い」 質とスピードの両立必要に

病気やけがで失われた体の機能を回復させる再生医療。京都大学の山中伸弥教授が世界に先駆けて新型万能細胞(iPS細胞)を作製したことなどで脚光を集め、多額の研究予算が付くようになった。再生医療が臨床応用されれば、心臓病治療などで臓器移植に代わる可能性もある。患者の治療に応用する動きの現状を探った。

「角膜で先進医療」

セルシードは日本に先行してフランスで細胞シート技術を使った角膜の臨床試験を進めている(同社提供)

海外のアイバンクから提供された角膜の細胞をもとに細胞シートを作り、患者の目に移植して視力の回復を目指す――。慶応義塾大学で、こんな再生医療の臨床研究が始まった。昨年1月に厚生労働省から研究実施の承認を受け、同11月、1例目の手術を実施した。医薬品の副作用で起こる「スティーブンス・ジョンソン症候群」や、外傷などによって角膜の最も外側にある「角膜上皮」が損傷してしまった患者が対象だ。

角膜は目の最も外側にある黒目の部分で、レンズの役割を果たす。現段階で慶大の新治療法を受けた患者は2人。坪田一男教授は「症例を5例集めて、国に(混合診療が例外的に認められる)先進医療として申請したい」と意気込む。

東京女子医科大学のグループは細胞シート技術を使い、食道がんの手術後、表面の粘膜が切除されたため炎症を起こして食道が狭くなるのを防ぐ臨床研究の準備を進めている。患者の口の粘膜を採取してシート状に成長させ、筋肉がむき出しになった食道に張り付ける。大和雅之教授は「11月にも厚労省に臨床研究の実施を申請したい」と話す。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント