相手に合わせて変えるお土産
通常、お土産は、会社訪問する時も個人宅へ伺う際も、「自分のために時間をいただくことへの感謝の気持ち」で持っていくことが多いと思います。個人宅へのお土産は季節の果物やお花、生菓子でもよいのですが、ビジネスでは喜んでもらうものをお持ちするのはなかなか難しいものです。
基本的には、初めての訪問のときには、ナイフを使わないと食べられないものや冷蔵庫に入れておかないと困るものなどは避ける方が無難です。となると、日持ちをするもので小分けできるもの、となります。
私の場合は、初めて伺う時には、男性の多い職場か女性が多い職場かで、甘いものにするか、そうでないものにするか決めます。人数も分からない場合は、せんべいのようにたくさん入ったものを選びます。
せんべいも年配の人が多い場合は、厚焼きでなく薄焼きのものにします。年配の方の中には、歯の悪い人が多いことがあるからです。今、話題の菓子も、よくお持ちします。「並ばないと買えないのですよね」などと御礼のメールをいただくのはうれしいことです。
何回か伺ううちに、世間話の中で相手の好みを探ります。情報収集です。それが分かればより喜んでもらえるものを贈ることができます。勤めていたころ、冬は焼きたてのたい焼きを、夏には老舗の果物店のシャーベットをお土産に持ってきてくれた取引先の方がいました。職場でその人の株は上がり、ひそかに楽しみにしたものです。
(マナーデザイナー 岩下 宣子)
[日経プラスワン2010年8月14日付]