ベスト・キッド
中国舞台にリメーク成功
1984年のヒット作でその後シリーズ第4作までつくられた「ベスト・キッド」のリメークだが、かなり趣向を変え、スケールも大きくなっている。オリジナルを上まわる、大成功のリメークと言っていい。
主役の少年には、「幸せのちから」(2006年)でデビューした、大スター、ウィル・スミスの息子、ジェイデン・スミス。98年生まれ。すばらしく達者な演技と身体能力で、将来の大スターまちがいなしの魅力を発揮している。
オリジナルでは、ノリユキ・パット・モリタ扮(ふん)する日系の老師が、いじめられっ子の少年にカラテを伝授したが、こんどは中国人の師がクンフーをおしえる。
2年まえに父を亡くした少年は、母の転勤で、住みなれたデトロイトをはなれ、中国の北京でくらすことになる。中国人ばかりの学校で、英語のできる少女となかよくなれたのは、よかったが、しかし、そのためにガキ大将的な男の子に目をつけられ、いじめの対象にされてしまう。
彼ら、いじめっ子グループは、みんなクンフーの道場にかよっているので、到底、歯が立たない。
やがて、少年は、自分のクンフーの師となるべき人物と遭遇する。
それは、いつもボーッとしているだけのように見えた、アパートの管理人のおじさんだった。
この役に、ジャッキー・チェンをもってきたのが、この映画の成功の最大の要因である。
鬢(びん)に白髪のめだつ、陋巷(ろうこう)にかくれたるクンフーの達人を、実に渋く、魅力的に演じている。ジャッキーとしても新境地。そして、なにより彼がクンフーを伝授するのなら、最高度の信頼性が生まれる。
武術の聖地、武当山などの風景もとりいれ、おたのしみ満載の娯楽大作だ。2時間20分。
★★★★
(映画評論家 宇田川 幸洋)
[日本経済新聞夕刊2010年8月13日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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