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富山・立山町 黒部ダム、迫力の放水 最古の山小屋や石仏群も

2010/8/7 日本経済新聞 夕刊

 「大自然との壮絶な闘い」が映画やドラマになった富山県立山町の黒部ダム。夏から秋にかけて世界有数のダムでみられる大放水に涼を求め、ダム湖の船上から秘境の一端を垣間見た。立山黒部アルペンルートの拠点、室堂に足を延ばすとそこは史跡の宝庫でもあった。

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夏の風物詩、観光大放水に大きな虹が彩りを添える

 長野県の扇沢(おうぎざわ)駅から北アルプスを貫くトンネルをトロリーバスで十数分、黒部ダム駅は心地よい冷気に包まれていた。ダムに通じる地下道の出口正面に「黒部ダム」の石碑が出迎え、夏空に「黒部の太陽」が輝いた。

 ダムサイトから展望台に続く階段を行くと、ほどなくザザザー、ドドー……と轟音(ごうおん)。やがて内径1.5メートルの放流口からほとばしる大放水が見えてきた。毎秒10~15トン、水の塊が霧のように飛散して落差100メートルを超す空間に舞う。

 延べ1000万人を動員し、171人の殉職者を出して47年前に完成した黒部ダム。人跡未踏の自然の懐には「年間100万人を超す人々が訪れ、外国からも10万人近くを数える」と関電アメニックスくろよん観光事業部課長の長沢秀一さん(61)。

 高さ186メートルの堤頂から身を乗り出すように激流を見る若者が「わー。吸い込まれそうだ」。つられてのぞくと白煙のようなしぶきに大きな虹が弧を描いていた。

 長さ約500メートル、曲線の堤頂道路を抜けて船の発着場へ向かう。遊覧船「ガルベ」は標高約1450メートル、日本で最も高い湖面を運航する。離岸するとエメラルドグリーンの湖面のあちこちに、長さ数メートルの流木が浮遊している。「流木を避けながらの操船はとても気を使う。緊張の連続です」と船長になって日が浅い鈴木純子さん(41)。湖面からそそりたつ山々では自然保護のため伐採できないから、根こそぎ倒れて浮遊する。

 ダムを背に進む正面に赤牛岳、左舷に針ノ木岳が急角度でたちはだかる。数キロ進んだ湖の先端近く、五色ケ原を背景に立ち枯れの木々が懐深い峡谷をのぞかせる。両岸の北アルプス、立山連峰のパノラマを回転させながら船はUターン、つかの間の湖上散策を楽しんだ。

 ダムを後にしてケーブルカーやロープウエー、バスを乗り継いで立山黒部アルペンルートの観光拠点、室堂に向かう。標高約2450メートル、夏にも残る立山連峰の雪渓と山肌のしま模様を、みくりが池が映し出す。周辺に延びる遊歩道には観光客の列。だれもが立山の雄姿と高山植物、そしてライチョウの姿を追い山上の楽園を満喫する。

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