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小栗旬さん 普通の27歳でいられた 「シュアリー・サムデイ」で初監督

2010/7/27 日本経済新聞 夕刊

映画「シュアリー・サムデイ」(公開中)で初監督に挑戦した。ばかげた騒動で高校を退学した若者5人が、ある事件を機に再び集い、もがきながら走り出す青春ドラマ。「僕らの時代って10代で人生決めなきゃいけなかったりする。それって悲しいなと思って。人生は長いし、失敗を恐れないでほしいってことを伝えたかった」と話す。

昨今、にわかに監督になるタレントや俳優は多いが、周囲の敷いたレールに乗るだけの「名ばかり監督」とは一線を画す。企画を温め始めたのは9年前、18歳のとき。3年後に、出演したテレビドラマで同世代の脚本家、武藤将吾に出会う。「泥臭い男の子だけの物語を、武藤さんならうまく書けると思った」

2人で完成させた脚本を手に、製作者を尋ね歩いた。自身の所属プロダクション社長も著名プロデューサーだが、最初はあえて避けた。「だから撮れたって言われるのが嫌で。誰も出資してくれなかったら僕のポケットマネーで撮って、単館公開するつもりだった」

結局、社長が脚本にほれこみ、公開規模も広がる幸運に恵まれた。撮影現場に立つ経験を通して「自分はただの人間なんだと思えたのがありがたかった」という。テレビ、舞台、映画にと多忙を極める人気者。「僕はまだ、何一つ満足も納得もしていないのに、何でこんな面倒くさいことになったんだろうと思ってた。でも現場では普通の27歳でいられた。今は芝居をするのも楽になった」

本音では「もう監督だけやりたいくらい」。早くも次作の構想を練る。「取り返しのつかない痛みを持つ人々を描いて、自分がそんな痛みを感じられるのか、試してみたい」

[日本経済新聞夕刊2010年7月26日付]

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