夏においしいご当地ジュース
何でもランキング
搾りたて風味そのままに
自然の恵みが詰まった果物ジュース。全国には地元の果物を使った商品も多い。取り寄せできる果汁飲料を、食の専門家が実際に試飲し、家族で夏においしく飲めるものを選んだ。
法律(JAS法)で「ジュース」と表記できる果汁100%飲料に加え、果汁の割合がそれ未満の「果汁入り飲料」も対象にした。
風味の豊かなものが並んだが、同じ100%ジュースでも街でよく買うものと作り方が違う。果汁の処理法に2種類あり、スーパーなどで売られるジュースは高いものを除くと「濃縮還元」が大半。果汁を濃縮して輸送・保管し、元の状態まで水分を戻して販売する。風味を補うため、香料を加えることが多い。
ご当地100%ジュースの多くは搾った果汁を濃縮も還元もせずに容器に詰めた「ストレート」タイプ。途中で加熱殺菌はするが、香料などは加えないものが多く、搾りたての風味を楽しみやすい。ランキングでも5、7位を除く8品がストレートで無香料・無加糖だった。香料などの添加成分は容器の「原材料名」欄で確認でき、果物名以外に何もなければ、無添加だ。
各業者が力を入れているのが、新品種の導入・開発。青果卸大手の東京青果(東京都大田区)よると、消費者の好みを映し「糖度の高い品種に取り組む生産者が多い。特にかんきつ類で活発」という。1位の原料のクレメンティンもその一つ。濃厚な果汁が特徴でスペインから取り入れた。3位のラ・フランスも高糖度の果物として知られる。
気になるのが栄養素だ。果汁飲料は生の果物の代わりになるのだろうか。女子栄養大学の春日敦子准教授は「食物繊維やビタミンA、D、Eなど生の果物に比べて少なくなる成分もあるが、ビタミンCやポリフェノールなどは効率よく摂取できる」と話す。時間の経過や空気への接触で劣化する栄養素もあるので、早めに飲むのがいいようだ。
料理やカクテルにも活用
ジュースは様々な料理やカクテルにも利用できる。特に味が濃い南国の果物は使い道が多い。8位のパッションフルーツのジュースは「大人は発泡ワイン、子どもはヨーグルトやアイスクリームに合わせてみては。マリネやサラダのドレッシングにもいい」(こみやまさん)。
10位内には入らなかったが、やんばる食品「山原シークヮーサー」はレモン汁代わりに様々な料理に使え、炭酸や泡盛で割れば「沖縄料理との相性は最高」(南さん)という。果物の産地と飲料の製造場所が異なるため対象外だったが、セゾンファクトリーの「飲むアロエ(マンゴーココナッツ)」を推す人もおり、アイスやかき氷にかけて食べたいとの声があった。
調査の方法 その地域の果物を使い、その地域で作る果汁飲料が対象。大手通販サイトや百貨店の売れ筋や専門家の推薦で選んだ23商品を試飲。贈答ではなく、家族が取り寄せて飲むことを想定し、価格も考慮して選んだ。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
稲岡壮一(ロック・フィールド商品開発グループ)▽川野妙子(「おうちで生ジュース」著者・栄養士)▽北川みゆき(食育アドバイザー)▽畔田隆弘(伊勢丹食品営業部シェフズセレクションバイヤー)▽こみやまたみこ(「おとりよせネット」達人)▽坂本有希(欧風料理店「坂本さんの奥さんのトコ」店主・ソムリエール)▽Noriko(情報サイト「Juice+Life」主宰)▽ほりえさちこ(料理研究家)▽南清貴(フードプロデューサー)▽吉田義秀(新宿高野商品開発課課長)
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