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「健康」でも発症 くも膜下出血 たばこ・高血圧が危険因子

2010/6/30 日本経済新聞 朝刊

何の前触れもなく突然襲ってくるくも膜下出血。3人に1人の割合で死亡する、怖い脳血管系の病気だ。生活習慣などに気をつければ、発症リスクを下げられるのだろうか。

動脈の瘤が破裂

くも膜下出血は脳を覆うくも膜の内側で動脈にできた小さな瘤(こぶ)が破裂して起きる。短時間に大量出血してしまうため、破裂の場所が悪いとほとんど即死状態。たとえ助かっても手足のまひといった後遺症が出ることが多い。年間の死亡者数は1万5000人前後で、発症頻度や死亡率はこの20年、あまり変わっていない。

同じ脳卒中のなかでも、加齢とともに発症しやすくなる脳梗塞(こうそく)や、高血圧と強いつながりのある脳出血に比べて、治療や予防が難しい。30代でも発症、男性では40代、50代に多い。脳動脈瘤(どうみゃくりゅう)がなぜできて、どのように大きくなり、何をきっかけに破裂するのか、ほとんど医学的に解明されていない。

インターネット上にはよく「発症前、バットで殴りつけられたようなひどい頭痛に見舞われた」といった体験談も紹介されているが、こうした前兆がいつも起きるのかどうかもよくわかっていない。

東京都済生会中央病院の高木誠院長は「健康診断や人間ドックで何の問題がなくても、くも膜下出血になる。脳卒中のなかで発症する割合は1割程度だが、最も厄介だ」と話す。

ある日突然、「帰らぬ人」となるため、遺族らからは「まるで交通事故にあったみたいだ」との声も聞かれる。4月、プロ野球巨人のコーチ、木村拓也さんは球場で試合前の練習中に倒れて、亡くなった。

ただ、疫学研究からはいくつかの危険因子がわかっている。一つがたばこ。厚生労働省研究班の大規模調査では、40代、50代のくも膜下出血発症率は、たばこを吸う人では吸わない人に比べ男性で3.6倍、女性で2.7倍。脳梗塞などに比べても高かった。

過度の飲酒や高血圧もよくない。喫煙者で酒好きの人は発症リスクが6倍に跳ね上がるとのデータもある。

もう一つが家族歴。親から子へ遺伝する病気というわけではないが、近親者にくも膜下出血の人や脳動脈瘤を持つ人がいると、発症リスクは増すとされる。

脳動脈瘤があっても破裂させなければ、くも膜下出血にはならない。動脈硬化の治療薬であるスタチンを、くも膜下出血の発症予防に適用しようとする研究も始まった。

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