ケータイ料金、複数会社利用で節約
「定額サービス」を生かす
三好宏一さん(仮名、25)は、6カ月前に知り合った彼女と毎晩電話で長時間話していた。このため毎月かかった通話料金は4000円超に。友人の助言で今まで使っていた携帯電話はそのままにして、彼女と同じKDDI(au)の携帯電話を別途契約したところ、合計の料金はむしろ減った。
ミソは月額390円で通話し放題になる「指定通話定額」に加入したことだ。彼女との通話に使う携帯の料金は、プランEシンプルの月額基本料(780円)と合わせて1170円まで下がった。この結果、これまで使っていた携帯の通話料金は1000円程度まで下がった。これだけで2000円近い節約だ。
三好さんが2つの会社と契約することにしたのは、すでに使っていた携帯電話が2年契約で、契約がまだ1年ほど残っていたからだ。仮に解約すると、携帯端末の購入ローン残額と解約手数料を合わせ3万円程度を払う必要がある。メールアドレスを変えたくないという事情もあった。
一方、別の携帯電話を契約しても、初期費用や月額料金はそれほどかからない。最近では、月額基本料が安い料金プラン(auの場合はシンプルコースと呼ぶ)に対応する携帯電話機を0円で買えるところもある。また、2年契約なら月額基本料を1000円以下に抑えられる。
KDDIの指定通話定額と同様に同じ会社の契約者と話し放題になるサービスには、ソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」がある。ただし、21時から翌1時までは無料通話の対象外。夜中に話すことが多い三好さんには向かない。ビジネス利用の人などに向くだろう。
仕事が忙しい会社員の池田健作さん(同、34)は、会社のメールアドレスあてに届くメールを携帯電話に転送し、外出中もチェックを欠かさない。パケット通信料が安くなる定額制サービスに加入しているが、月額料金は上限の4410円に達していた。やりとりする添付ファイルのデータが大きいメールや、ニュース配信サービスからのメールなどが頻繁に届くからだ。
そこで、NTTドコモの携帯電話に2年契約で加入し、月額1095円でメール使い放題になる「タイプシンプル バリュー」というプランを選んだ。月額料金が安いメール定額プランを使うには、同じ電話会社の利用者でも別途電話機の購入が必要な場合がある。一方、これまで使っていた携帯電話は通話専用とし、定額制パケット通信サービスは解約した。合計すると毎月3000円以上の節約になった。
池田さんが以前から持っていた他社の携帯電話を解約しなかったのは、すでに家族全員で同じ会社の携帯に加入し、家族間通話を無料にするメリットを得られるようにしていたからだ。しかも携帯電話2台を使うようになると、メールを見ながら通話するのが便利なことにも気づいた。
ソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」利用者も、月額315円の「S!ベーシックパック」に加入すれば、相手に関係なく50文字までのインターネットメールの受信が無料となる。データ量に応じてパケット通信料はかかるが、必要なメールだけを選んで続きを読むことも可能。すべてのメールを受信する場合より料金を抑えられる。
このほか、最近ではメールやサイトの閲覧にスマートフォンを使う人が増えてきた。この場合も、すでに持っている携帯電話は通話用として使い続け、スマートフォンを別途購入する方が合計でみて料金節約になるケースが少なくない。
通信会社ごとに選べる機種や料金体系は異なるが、ソフトバンクモバイルの「iPhone(アイフォーン) 3GS/4」は費用が安いスマートフォンとして人気がある。自分の通話傾向にあうサービスに加入した携帯電話を併用すると、費用抑制に役立てやすいだろう。
(稲川哲浩)
[日経プラスワン2010年6月26日付]
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