働く女性、ネットで悩み相談
転職や子育て、思い書き込む
仕事を続ける上で、結婚や子育てなど生活の変化に伴う様々な課題に直面する女性は多い。その解決策や励ましを得られる場がインターネット上に充実してきている。先輩や同じ立場の仲間の体験談は仕事に役立てられる上、人脈作りのきっかけにもなるようだ。
「仕事と小学生の娘の世話……。きょうもてんてこまいでした」。東京の保育園に勤めるA子さん(42)は、仕事や子育てについて、「はぴきゃり」(東京・世田谷)の女性向けブログサイトにつづっている。約1000人の女性が仕事などへの思いをぶつけあうサイトは、悩みを解決する場にもなっている。
「職場は話しづらい…」
A子さんがブログを始めたのは「自分のように子育てをしながら働く女性の思いをもっと知りたかった」から。身の回りや職場の人には話しにくいこともある。だからネットだという。
相談相手は広がった。コメントを通じ知り合った女性経営者ら数人とは、実際に会って語り合った。離婚をして不安を抱えていた時期には「これからだよ。がんばって」と励まされた。「本当に助けられた」
職場関係、結婚、子育て……。仕事と生活の両立では様々な課題に直面する。しかし「職場など身近に同じように働く女性がいるとは限らない。だから助け合える場を作りたかった」と「はぴきゃり」の代表、金沢悦子さんは話す。
頼れる人を見つける仕組みもある。利用登録時に職種や転職経験、育児経験などの記入を求めており、その情報を基に利用者は経験者を探せる。就職活動中の大学生、村田弥佳さん(22)は「職種ごとに働く先輩たちの生の声が聞け、就職先を考える上で参考になる」と話す。
もっとも、文章を書くのは苦手という人もいる。もっと手軽に投稿し、自分を高められるとして注目を集めているのは、アイランド(東京・品川)が運営する女性向けサイト「朝時間.jp」だ。主にヨガや美容など心地よい朝の過ごし方を女性に提案するサイトだが、中でも人気なのが「ひとこと朝宣言」。利用登録者が毎朝届くメールに記して返信した宣言を公開するコーナーで、連日「ウオーキング1時間」「新しいことを1つはやる」などの言葉が1万本以上並ぶ。
サイトのプロデューサー、中込友里さんは「日記と違い、サイトに宣言を記すと『やらなきゃならない』という気持ちが強くなる。自己管理の手段として使う人が多いようだ」と話す。宣言にはコメントもつけられる。互いに励ましたり、アドバイスしたりできるのも魅力だ。
自分の声が新商品に
悩みの解決や励ましだけでなく、自分の思いや発想を商品として実現できるサイトもある。タイムライン(東京・渋谷)が運営する「Happy OL」はその1つ。「こんな商品があれば仕事に役立つ」。そんな女性の声を集め、企業と商品を開発するサイトだ。
同サイトとミニブログ「ツイッター」に登録した上で、同サイトから投稿すれば、声が商品開発に反映される仕組み。2009年10月の開設後、利用者は約3000人に達した。その声をもとにフリルなどの着け外しで仕事にもオフにも着回せるワンピースやコートなど、既に数種類の商品をアパレルメーカーと開発。販売にこぎ着けている。
「女性のネット活用は今後、実社会での情報交換などより具体的な協力に広がっていくのでは」。そう指摘するのは全国10万人の主婦が協力する調査会社キャリア・マム(東京都多摩市)の堤香苗社長。「Happy OL」の商品企画は一例といえそうだ。
毎日コミュニケーションズ(東京・千代田)が運営する女性向け情報サイト「エスカーラカフェ」の川島輝美編集長も「仕事や子育てなどテーマを絞ったサイトのニーズは、さらに高まるのではないか」とみる。自分にあったサイトを探して、活用してみてはいかが。
(電子報道部 学頭貴子)
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