栄養機能食品を選ぶ際は「包装袋に表示されている栄養成分をきちんとみる習慣をつけてほしい」(中村さん)。1袋に含まれるたんぱく質、炭水化物、脂質の量のほか、カロリー、ビタミン、ミネラルの値が表示されている。目立つように大きな文字の成分は特に多く含まれており不足を補える。
一方、「カロリーメイト」(大塚製薬、栄養調整食品)のように食事代わりにとるタイプには、ビタミンやミネラルが1日に必要な量の半分と、バランスよく含まれている。国から効果が認められたわけではないが、偏った食事を繰り返すより健康によさそうという研究もある。
大塚製薬が九州臨床薬理クリニックと共同で実施した実験では、朝食の代わりにカロリーメイトを食べると、パンとサラダ、ヨーグルトといった普通の朝食を食べたときと同じように集中力や作業効率が上がり、疲労感も抑えられることがわかった。同カロリーのおにぎり2個だけを食べたときよりも集中力や作業効率がよくなっていた。
ただ、毎日食べても健康な状態を保てるかは医学的には未解明。大塚製薬も「どうしても朝食が食べられないときにとってほしい」とコメントする。
不足すると健康を害するとされるビタミンやミネラルは摂取できても、野菜や果物には未知の栄養成分も多く、栄養食品に頼ると体をこわしかねない。
青森県立保健大学の吉池信男教授は「食べた後の吸収のされかたや満腹感も、実際の食事とは違う」と語る。食事はただ栄養を補うために取るものではない。おいしく味わうことによる健康効果も見逃せない。梅垣センター長も「満足感が得られて心が豊かになる。食事が精神面に果たす役割も大きい」と強調している。
(長倉克枝)
[日本経済新聞朝刊2010年6月13日付]