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沖縄・読谷村 情熱の布「花織」再興 幾何学模様に願い込め

2010/6/12 日本経済新聞 夕刊

楚辺工房で織り機に向かう織り手

芭蕉布(ばしょうふ)、紅型(びんがた)、首里織、宮古上布……。沖縄の伝統的な染織は戦火などで一度途絶えながらも、戦後によみがえったものが多い。その中で、花模様に織り手の願いを織り込んだ情熱的な織物「読谷山花織(ゆんたんざはなうい)」の里を訪ねた。

東シナ海の波に洗われる沖縄本島中部の読谷村(よみたんそん)。青い海、サトウキビ畑など沖縄らしい風景に多く出合える。5月下旬、赤瓦屋根に石積み造りの読谷山花織事業協同組合の事務所を訪ねると、池原竹子さん(72)、又吉弘子さん(67)、知花尚子さん(55)が迎えてくれた。

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読谷山花織は14~15世紀の琉球国の交易で、ブータンなど南方諸国から伝わったという。明治の廃藩置県にともなう「琉球処分」後、本土布の流入で衰退して幻の布になった。戦後になって故与那嶺貞さん(1909~2003年、人間国宝)が1964年、わずかに残る花織を手掛かりに復元し、織り手を育てた。織り手は現在、約160人にのぼる。

織り手の願い、祈りを込める花模様は、ジンバナ(銭花=お金に困らないように)、カジマヤーバナ(風車花=長寿)、オージバナ(扇花=子孫繁栄)の3種類が基本。浮糸と絣(かすり)の技法を駆使して、花を浮かび上がらせ、星を集めたような美しい幾何学模様を作る。

代表的な「ティサージ」と呼ばれる手ぬぐいは、女性が旅に出る肉親や恋人の無事安全を祈って織った「情熱の布」だ。

知花さんの指導で、花織のコースター作りを体験してみた。縦糸を張った織り機の踏み板を踏みながら、杼(ひ)で横糸を通し、筬(おさ)を手前に引いてトントンたたく。花模様は縦糸に竹ぐしを交差して刺しながら編んでいく。苦闘すること30分、端が不ぞろいなコースターが出来上がった。

その後、組合から車で数分の場所にある楚辺(そべ)工房を見学した。10人ほどの女性がいて、笑いが絶えない。

桃原トミさん(87)は鮮やかな黄色の生地を見せてくれた。浦崎さやかさん(36)は東京で5年間働いた後、沖縄に戻り「ふるさとの織物の良さを再認識した」。週に6日は工房に来て、朝から夕方まで織り機に向かう。

→次ページは「再び危機に直面する花織」

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