「次の人が入った時までトイレがくさいなら危険信号」と辨野さん。最近はダイエットの影響もあって若い女性がくさいにおいを残すこともあるという。便のチェックで腸内環境を読みとれるが「くさいものにはふたを」とすぐに流す人も少なくない。悪いおならをしている人は、腸年齢をチェックし腸内環境を悪化させる要因を見つけよう。
ヨーグルトや雑穀、果物のプルーンというように、善玉細菌を増やしたり働きをよくしたりする食材はいろいろある。ただ、腸内細菌は500~1000種類で、種類やバランスに個人差も。善玉細菌を増やして働きを後押しする食材は何か、自分なりに探して積極的に取るようにすると、相対的に悪玉細菌を押さえ込むことができる。
人前で不意に出ると困るおならだが、出ないのはもっと悩ましい。ガスがたまった感じがする腹部の張り(膨満感)も、日々の生活習慣の影響を受ける。
食事の中身によって腸内ガスが増えることもあるが、空気をたくさん飲み込んでいるとも考えられる。早食いや炭酸ガス入りの飲料の飲み過ぎなどが原因になる。
ガスは増えなくても、腸の動きが悪いとガスや便が滞って膨満感を招きやすい。朝食を食べないと動きを鈍くする。空腹時に何かを食べて胃に届くと「胃結腸反射」で腸も動き出す。朝食を抜くと腸が動かず、食後にちょうどトイレに行きたくなるという自然な流れを遮ってしまう。
東急病院(東京・大田)の伊藤克人心療内科医長は「ストレスの影響も大きい」という。早食いを招いて飲み込む空気が多くなりガスの量が増える。また、自律神経のバランスが崩れると、交感神経と副交感神経の切り替えのタイミングがおかしくなり、腸の動きも乱れる。緊張するとおなかが痛くなるように、おなかと心の結びつきは深い。
張りの原因を取り除くほかに、腸マッサージも張り解消に役立つ。おへその下あたりから、「の」の字を書くように手で腸をやさしく押していく。効果には個人差があるが、試してみてもよさそうだ。
(鴻知佳子)
[日本経済新聞朝刊2010年5月30日付]