パソコンを守るには? 外敵はウイルス以外も
外敵としてよく知られているのは、「コンピューターウイルス」だろう。おもに電子メールの添付ファイルとして送りつけられてくる。不用意に添付ファイルを開くとパソコンの動作が不安定になったり、最悪の場合はデータが破壊されたりする。被害を防ぐには「心当たりのない怪しいメール(とくにファイルが添付されているメール)はすぐに削除する」を日ごろから心がけておくことが賢明だ。
注意しているつもりでも、うっかり……ということもありうる。そんな場合に備えて用意しておきたいのが「ウイルス対策ソフト(アンチウイルスソフト)」だ。電子メールを受信するときや添付ファイルを開く際にコンピューターウイルスを発見すると、警告を表示したり動作をキャンセルしたりしてくれる。
最近ではプロバイダー側でウイルスチェックのサービスを用意している場合も多いが、パソコン側でもアンチウイルスソフトを導入しておくにこしたことはない。近年取りざたされている「USBメモリーを介しての"感染"」にも対応できる。
コンピューターウイルスは、ユーザーがパソコンを使用できなくする愉快犯的なものが多い。近年ではさらに、パソコン上の個人情報を盗む「スパイウエア」と呼ばれるものも増えてきている。パソコンの動作を邪魔するのが目的ではないため、侵入されたことに気付きにくく、個人情報が流出してしまうという点ではさらに悪質だ。
スパイウエアは、プログラムなどのファイルを介してパソコン上に侵入することもあるが、特に注意したいのは、悪意のあるウェブサイトを閲覧した際に、侵入してくるタイプだ。
こうしたスパイウエアは、基本ソフト(OS)やブラウザー(閲覧ソフト)の欠陥(「セキュリティーホール」と呼ばれる)を悪用し、潜り込んできてしまう。このため、迷惑メールなどに記載されたURLをクリックしたり、不用意にリンクをたどったりして怪しいサイトを閲覧してしまわないよう、心がけるのが賢明だ。
とはいえ、注意していても、巧妙に仕掛けられたサイトを事前に察知するのは困難だろう。悪意のあるサイトを閲覧しようとした際に、警告を表示したり、スパイウエアの侵入を遮断したりしてくれる「アンチスパイウエア」の機能が、大事になってくる。
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最近では「インターネットセキュリティースイート」と呼ばれる、総合的なセキュリティーソフトが主流になりつつある。アンチウイルス、アンチスパイウエアに加えて、巧みな誘導でパスワードなどを入力させる「フィッシング(詐欺)サイト」対策や、インターネットを介した外部からの不正アクセスを防ぐ「パーソナルファイアウオール」などの機能を持つ。
一般の企業のサイトが何者かに改ざんされ、被害を広げる温床にされるなど、手口は年々巧妙になっている。セキュリティー対策は欠かせない。製品によりライセンス形態や価格などは様々だが、一般家庭向けの1年間使用できるパッケージであれば量販店で1万円未満で購入できる。
もう一つセキュリティー対策で大事なのは、ソフトウエアのアップデートだ。OSやブラウザーに新たなセキュリティーホールが見つかると、ソフトウエアメーカーは修正用のプログラムを用意する。セキュリティーソフト自体のアップデートと併せて、常日ごろから最新の状態にすることを心がけておきたい。
(テクニカルライター 杉崎 茂)
[日経プラスワン2010年5月29日付]
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