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薄毛、自分に合った対応策知ろう 皮膚科学会が診療の指針

2010/5/27 日本経済新聞 朝刊

苦情など5年で2倍

 「お父さんの頭、恥ずかしい。授業参観に来ないで」。小学校5年生の一人娘にこういわれ、頭髪医療を専門とする城西クリニック(東京・新宿)を訪れた40歳代の伊藤定信さん(仮名)。ミノキシジルとフィナステリドの併用治療を受け、地肌が髪で隠れるほどに回復。娘も一緒に外出してくれるようになった。小林一広院長も「現状で効果のある薬はこの2種類だ」と認める。

 一方、評価が低かったのが、薬局で手軽に買える医薬部外品や化粧品の育毛剤だ。t―フラバノンやアデノシンなど5成分が「考慮してもよいが、十分な根拠がない(C1)」。アデノシンを含む製品「アデノゲン」を販売する資生堂は「医薬部外品として認可を得ている。有効性の試験をしており、十分な根拠がある」と主張する。

 医薬品だがC1評価にとどまった塩化カルプロニウムを配合した製品「カロヤン」を販売する第一三共ヘルスケアは「コメントは差し控えたい」。「用いない方がよい(C2)」だったセファランチンが入った塗り薬を販売する化研生薬(東京都三鷹市)は「動物実験のデータはある」と反論する。

 策定委員の一人である板見智大阪大教授は「今回、名前が挙がらなかった成分はさらに科学的根拠が薄い」と説明する。

 「頭皮が赤くなり、ずきずきして使用できない」「育毛体験の施術を受けたら、抜け毛が悪化した」――。国民生活センターには多くの苦情や問い合わせが寄せられている。特に養毛剤への相談件数は2009年度に161件と、5年間で2倍超になった。育毛サービスでの相談は減少傾向にあるが、09年度は289件と、なお高水準だ。

 植毛でのトラブルも多い。自分の後頭部の毛髪を頭頂部などに植えつける自毛植毛は、十分な経験と技術を持つ医師が実施する場合に限り「勧められる(B)」とした。ただ化学繊維製の人工毛植毛は多くの有害事象の報告があり、米食品医薬品局(FDA)が有害器具として指定していることなどからD評価になった。

 脱毛は加齢現象で全員が百パーセント満足するような治療法はない。精神科医でもある小林院長は、髪の悩みを取り除くことに重点を置いて治療に臨んでいるという。

(川合智之)

[日本経済新聞朝刊2010年5月23日付]

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