初夏感じる取り寄せ抹茶スイーツ
何でもランキング
洋菓子でも今や定番に
八十八夜の5月2日を過ぎ、各地で茶摘みが本格化している。今年は4月にも冷え込む日があったが、「茶摘みの開始時期が若干遅くなった程度で、作況は悪くはない」(京都府茶業会議所の極山映一さん)。抹茶を使った取り寄せできるスイーツを専門家が試食しておすすめを選んだ。
抹茶は緑茶の一種、てん茶を粉末状にしたもの。玉露などの高級茶と同様、葉を直射日光から遮って育てる。十分な光が得られないので葉が薄くなり、うまみが増すという。摘み取った葉を蒸し、茶葉をもまずに乾燥させるのが特徴で、その後、葉脈などを取り除いて葉の部分を粉にする。
原料のてん茶の生産量が最も多いのは京都府で、愛知県、静岡県が続く。抹茶は京都の宇治がよく知られるが、「宇治茶」と名乗れる茶には厳格な条件がある。特許庁の地域団体商標(地域ブランド)への登録内容では「京都、奈良、滋賀、三重の4府県産の茶を、京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上げ加工した緑茶」と決めている。
和のイメージが強い抹茶だが、洋菓子も多い。「欧州でも抹茶は一流のパティシエ(菓子職人)の定番素材になっている」(松永朗さん)という。
「抹茶を洋菓子に取り入れ広めた先駆者」(藤原浩さん)ともいわれるのが、パリや日本に店を構えるパティシエの青木定治さん。ランキングは抹茶菓子だけ単独で取り寄せられる商品に限ったため、対象外だったが、パティスリー・サダハル・アオキ・パリの抹茶のマカロン(取り寄せは他の風味との詰め合わせのみ)を推す声もあった。
日本茶店も海外での販売に力を入れ始めている。10位の築地丸山 寿月堂は08年にパリに本格的な日本茶専門店を開店した。「パリでは今は煎茶(せんちゃ)も人気」(並木麻輝子さん)といい、日本茶全体に注目が集まっている。
調査の方法 抹茶菓子だけ単独で取り寄せられる商品が対象。大手通販サイトの売れ筋や専門家の推薦で21商品を候補に選出。実際に試食して選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
海田文(ライター)▽神谷千佳代(「スイートネットワーク」代表)▽清水好夫(「スイーツ番長・男のスイーツブログ」主宰)▽下井美奈子(オールアバウト洋菓子ガイド)▽下園昌江(お菓子研究家)▽並木麻輝子(料理ジャーナリスト)▽西祐子(「デパチカドットコム」主宰)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽藤原浩(日本フードアナリスト協会スーパーバイザー)▽松永朗(伊勢丹食品営業部、和菓子・茶バイヤー)▽村山なおこ(菓子評論家)
熱や光に弱い抹茶、製法や保存に工夫
抹茶は熱や光に弱い。各菓子店は色や風味が落ちないよう、製法や保存法などで様々な工夫をしている。1位になったパティスリーミュウミュウでは「抹茶を使った商品をショーケースの光にさらすと、緑色が褐色になってしまう。抹茶のロールケーキは常時店頭には出していない」と説明する。
6位に抹茶のダクワーズが入ったOKUでは「熱を加えると抹茶が変色してしまうので、熱を加える生地の部分と加えないクリームの部分で、違う種類の抹茶を使っている」という。4位のカルヴァの抹茶のパウンドケーキも「美しい緑色を守るために、抹茶を溶いた砂糖でケーキをコーティングしている」(パティシエの田中二朗さん)そうだ。
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