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「就業不能」どう備える?自分や世帯主の傷病による困窮リスク 長期保障の民間保険登場

2010/3/31

安心・安全

「就業不能リスク」についてあなたは考えたことがあるだろうか。自分自身や世帯主が病気など何らかの予期せぬ理由で働けなくなり、家計が行き詰まるリスクだ。就業不能に備える民間保険にはどんな商品があり、公的保障を十分に使うにはどんな知識が必要なのかを探った。

「独りのまま生きていく可能性を考えると、自分が働けなくなることが最大のリスク」(30代の独身女性)

「夫の死亡保険はかけている。でも、もし夫が寝たきりになったら、世話で自分の収入も途絶えてしまう」(40代の共働きの妻)

元気だった人が病気やケガを理由にある日突然、働けなくなるという事態は誰にでも起こりうる。こうしたリスクに備え、本人や家族の生活を長期間保障する保険を2月に発売したライフネット生命保険は「こんな保険がほしいという顧客の要望が相次いでいた」(出口治明社長)と話す。

日本の加入率0.1%

統計からもこうした不安が高まっている状況が浮かび上がる。厚生労働省によると、生活保護開始の理由では「働き手の死亡など」が4%であるのに対し、「世帯主の傷病」は40%(グラフA)。世帯主の死亡には死亡保険などで備えられている半面、世帯主が働けなくなると生活が困窮する傾向がみえる。

多くの人が加入する民間の医療保険では就業不能に備えられないのか。

医療保険は1入院あたりや通算の支払日数に制限があるほか、原則入院しか対象でない。「入院確率などから試算して総受給額は数十万~百数十万円にとどまりがち」(医療統計に詳しい永田宏・長浜バイオ大学教授)で、自宅療養も含めた長期の就業不能には十分でないことが多いのだ。

保険の著書も多い保険代理店役員の後田亨氏は「短期の入院リスクなどは貯蓄で備えればいい。万一の場合にトータルで大きな金額を得るのが保険の本来機能。長期の就業不能保険はそれにあたる」と指摘する。

潜在的なニーズは多いとみられる就業不能保険だが、国内ではまだほとんど普及していない。ライフネットの調べによると、長期就業不能保険の加入率(労働人口比)は米国で29%(2006年)だが、日本は約0.1%(08年)にとどまる。

これまで個人向けの長期的な商品は日立キャピタル損害保険(日立損保)などわずかしかなかったことが普及していない理由のひとつ。「支払い条件の設定が難しく専門性が必要なうえ、保険会社のリスクも大きい」(佐藤良治・日立損保社長)ことも品ぞろえが乏しい背景とみられている。

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