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飯守泰次郎指揮東京フィル「第849回サントリー定期シリーズ」 R・シュトラウス七変化、不連続の多様性を聴く

2014/6/30

9月に新国立劇場オペラ部門の芸術監督に就任予定の指揮者、飯守泰次郎(73)。その新国立でのオペラ演奏で最も実績のある東京フィルハーモニー交響楽団を飯守が指揮した。演目は今年生誕150周年のリヒャルト・シュトラウスの交響詩と歌曲、オペラ関連曲。内容に応じて管弦楽法ががらりと変わる多才な作曲家の“七変化”をどう表現するか。日本のオペラの殿堂を担う飯守と東京フィルの「予告編」を聴いた。

リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」で東京フィルを指揮する飯守泰次郎(6月17日、サントリーホール)=撮影 写真部 淡嶋健人

「交響詩から歌曲、オペラまで。大編成の管弦楽曲から小編成の室内楽風の曲まで。彼の世界を一夜に全部盛り込みますよ」。本番前日のリハーサルを終えた飯守は意気込みをこう語った。ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウス(1864~1949年)の生誕150周年記念の演奏会が日本でも相次いでいる。交響詩、オペラ、歌曲のそれぞれに絞った上演は多いが、3分野の楽曲がそろい踏みの演奏会は珍しい。コンサートホールとオペラハウスの両方に精通した演奏家をもってして初めて実現する演目だ。

6月17日、サントリーホール(東京・港)での東京フィル「第849回サントリー定期シリーズ」。他の会場での公演を含む回数ではあるが、その定期回数の多さが物語るように、東京フィルは2011年に創立100周年を迎えた日本最古のプロ管弦楽団だ。コンサートとオペラの両方をこなす機能を持つ。東日本大震災の影響で延期となっていた創立100周年記念の世界ツアーを大植英次の指揮、竹澤恭子のバイオリン独奏で3月に敢行。ニューヨークやパリをはじめ世界6都市で黛敏郎の作品などを演奏し、好評を博した。

飯守泰次郎指揮の東京フィルのリハーサル風景(6月16日、東京都新宿区の東京オペラシティで)

一方の飯守は桐朋学園大学を卒業後、ドイツ各地の歌劇場でオペラ指揮者として研さんを積み、1970年代にはワーグナーのオペラの祭典「独バイロイト音楽祭」で音楽助手を務めた。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と関西フィルハーモニー管弦楽団の桂冠(けいかん)名誉指揮者の地位にありながら、日本を代表するオペラ指揮者としていよいよ新国立劇場オペラ部門の芸術監督に就く。この飯守と東京フィルのコンビがどんなR・シュトラウスの音を鳴らすのか。日本の演奏水準を知る上でも興味がそそられる。

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