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少女の成長イメージ豊かに 新しい才能ロルヴァケル

カンヌ映画祭リポート2014(6)

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NIKKEI STYLE

新しい才能の登場に拍手を送りたい。18日にコンペで公式上映された「ザ・ワンダーズ」。32歳のイタリアの女性監督アリーチェ・ロルヴァケルの作品である。

「ザ・ワンダーズ」 カンピオン、フェリーニ…想像かきたてる豊かなイメージ

イタリアの農村を舞台にした一風変わった家族の物語である。父親は養蜂(ようほう)の仕事をしており、4人姉妹の長女ジェルソミーナがその技術を受け継いでいる。落ち着きのない幼い妹たちの面倒をみながら、仕事に精を出す長女。外国人である父親は長女を厳しく仕込んでいるが、内心は男の跡取りがほしかったと思っている。穏やかな農村に見えるが、農薬の大量散布のせいか、この地の養蜂も曲がり角にきている。

そんなときテレビ番組のクルーが村にやってくる。彼らは伝統的な農村の人々に、芸を競うショーに参加しないかと誘う。最初は乗り気でなかった父親も気が変わったのか、家にラクダや羊を連れてきたりする。同じころ、ジェルソミーナは物静かなドイツ人の少年と出会い、心が揺れ動く。

養蜂と少女の成長の物語は、いや応なくビクトル・エリセの「ミツバチのささやき」を連想させる(実はロルヴァケル監督の父親も養蜂業を営んでいたという)。自然の中で現実と幻想がつながるというのがエリセ的だし、思春期の少女の繊細な心の揺れはジェーン・カンピオンの作品にも似ている。一方、動物の出現や、祝祭のようなテレビショーはいかにもフェリーニ的だ。

画面に展開する豊かなイメージが、想像の翼を広げさせる。それでいて戦後のイタリア映画の伝統であるリアリズムが基調となっているのが好ましい。時代の変化や地域の現実も垣間見えるのだ。ちょっと不思議な世界で、真摯(しんし)に人生と向きあう長女のまっすぐなまなざしが心に残った。

「ティンブクトゥ」 イスラム原理主義が支配するマリでの暴力描く

世界の過酷な現実を映しだすという点では、15日にコンペで公式上映されたモーリタニアのアブデラマン・シサコ監督「ティンブクトゥ」が強烈な印象を残した。イスラム原理主義グループが支配するマリ北部の村での暴力を実話に基づき描き出す。

冒頭から鮮烈な映像が続く。銃を抱えたイスラム原理主義の兵士たちが車に乗って砂漠を走る。シカを追いまわし、カラシニコフ銃で撃ち殺す。砂の上に並べた宗教的な偶像を次々と撃ち抜く。

2人の子どもと暮らす若いカップルを、石を投げて惨殺するという実話はあまりに悲しい。結婚せずに子どもをもうけたということで、処刑されたのだ。そんな悲しみが支配する地域の風景を、長回しのカメラでこの上なく美しく撮る。あまりに悲しいから、美しく撮るしかないのだろうか。悲しみはますます胸に迫る。

「ワイルド・テイルズ」 抱腹絶倒のオムニバス喜劇

さて、カンヌ映画祭といえば高尚で深刻な作品ばかりと思っている読者も多いだろうが、実は必ずしもそうではない。相当におバカな映画もある。17日にコンペで公式上映されたアルゼンチンのダミアン・ジフロン監督「ワイルド・テイルズ」は抱腹絶倒のオムニバス喜劇。プレス向け上映では爆笑の連続だった。

出張中の女が飛行機に乗り込む。隣に座った音楽評論家とおしゃべりをしていて、元カレが音楽をやっていたことを話す。評論家は苦い顔をしながら「その男を知っている」という。すると近くに座るおばさんも「自分の教え子だ」と言い、さらにその男を知る乗客が次々と現れる。機内に不穏な空気が漂った瞬間、キャビンアテンダントがその男の名を叫ぶ。乗務員だったその男が飛行機を乗っ取ったのだ……。

そんなブラックコメディー6話で構成されている。道で追い抜かれたとか、食堂にイヤな客がいるとか、駐車違反でレッカー移動されたとか、そんな日常に起こるいらだちを戯画的に強調し、登場人物はささいなことで殺意を抱いたり、理不尽が重なって爆発したりする。ごく平凡な人々が狂気に駆られていくさまを、徹底的に笑いのめす。

森田芳光の「バカヤロー!」シリーズを思い出したが、6話すべてに現れる復讐(ふくしゅう)という行為が徹底していて、より過激である。ジフロン監督はカンヌ初登場の38歳。地球の裏側のこんな喜劇映画が日本の劇場でも見られると楽しいのだが。

(カンヌ=編集委員 古賀重樹)

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