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現代を映す西部劇 トミー・リー・ジョーンズの快作

カンヌ映画祭リポート2014(5)

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NIKKEI STYLE

米国の名優トミー・リー・ジョーンズが再びメガホンをとり、西部劇の快作を撮った。18日にコンペで公式上映された「ザ・ホームズマン」は、19世紀半ばに開拓地で心を病んだ女たちを馬車に乗せ、ネブラスカからアイオワまで荒野を横断する女と男の物語である。

「ザ・ホームズマン」 西部フロンティアに生きる姿、現代女性思わせる

開拓時代の西部は死と隣り合わせの危険な世界であり、過酷な体験から精神を病む女性は少なくなかった。ネブラスカの小さな町でも病んだ3人の女をなんとか東部に送ろうと話し合いがもたれる。信仰のあつい独身女性メリー・ビー(ヒラリー・スワンク)は3人をアイオワまで馬車で運ぶことを引き受ける。

地平線が広がるネブラスカの平原で、独り畑を耕すメリー・ビーはタフな女だ。とはいえ荒野は危険に満ちている。道中さっそく、木の下で寝間着姿のまま馬に乗せられ、首にまいたロープを枝にくくりつけられた男と出会う。馬が走れば男は死ぬ。その男ジョージ(トミー・リー・ジョーンズ)は敵に寝込みを襲われたしがない悪党だった。メリー・ビーに命を救われたジョージは道中の用心棒役を引き受ける。

死体があちこちに転がる荒野を走り、インディアンの襲来に備える。病んだ女たちに食事をさせ、体を洗い、心のケアをする。献身的に働くメリー・ビーに、ジョージも少しずつ協力するようなり、いくつもの危機を切り抜けるが……。

ストレス障害のような心の病は、現代を描く映画では頻繁に登場する。独りでフロンティアに生きるメリー・ビーも今日の強さともろさを併せもつ女性を思わせる。そんな現代的な要素をふんだんに盛り込んだ西部劇なのだ。

西部の暮らしの過酷さが人々を狂わせるが、そんな彼らを癒やすのも西部の暮らしなのである。無名の死者たちが眠る西部に対する、トミー・リー・ジョーンズの哀切な追悼が心にしみる。

トミー・リー・ジョーンズは初監督作品「メルキアデス・エストラーデの3度の埋葬」を2005年のコンペに出品し、男優賞と脚本賞を受けた。これはメキシコ人の死体を馬に乗せ、国境地帯を縦断する男の話。今回は心を病んだ女たちを馬車に乗せ西部の荒野を横断する男女の話だ。はたから見れば徒労のように思えることに命を賭ける女と男を描き続けるトミー・リー。人生の意味と悲しみがそこに詰まっているからだろう。

デザイナーのスキャンダラスな人生、赤裸々に描く「サンローラン」

ターナーやグレース・ケリーなど伝記映画が目立つ今年のカンヌだが、17日にコンペで公式上映された「サンローラン」はフランスを代表するファッションデザイナーの一人、イヴ・サンローラン(1936~2008年)のスキャンダラスな人生を赤裸々に描きだした。監督は「メゾン/ある娼館の記憶」のベルトラン・ボネロ。サンローラン役は「ハンニバル・ライジング」のギャスパー・ウリエルだ。

映画はサンローランの生涯のうち1967年から76年までの10年に焦点をあてる。タキシードのデザインを取り入れたスモーキングルックに続き、胸が透けて見えるシースルーや、アフリカの狩猟服にヒントを得たサファリルックなど画期的なコレクションを次々と発表するサンローラン。パリ五月革命を経て時代は急速に動いていく。サンローランは薬物への依存を強め、幻覚に苦しめられる。

公私にわたるパートナーであったイヴ・サンローラン社の元社長ピエール・ベルジェとの関係も生々しく描かれる。新しい恋人の出現やベルジェへの愛憎が強調され、性描写や薬物による幻覚の描写も執拗(しつよう)だ。そんな苦悩の中、ロシア風の意匠で大成功を収めた76年の秋冬コレクションを作り上げる場面がヤマ場だ。

フランスではジャリル・レスペール監督「イヴ・サンローラン」も1月に公開されるなど、サンローランの回顧ブーム。ベルジェは自著「イヴ・サンローランへの手紙」で「シャネルが女性に自由を与えたのであれば、君は女性に権力を与えた」と記す。ボネロ作品の終盤でもサンローランが心の中のシャネルに語りかける。

先達のシャネルがそうであったように、サンローランもまた20世紀という時代と共に語られる存在になった。

(カンヌ=編集委員 古賀重樹)

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