アート&レビュー

音楽レビュー

連休に親子で楽しもう! ヤング・マエストロ 「こどもの日」に初めて聴くCD

2014/4/29

ゴールデンウイークに親子で若い指揮者のCDを聴きながら、クラシック音楽への思いを次の世代へと語り継ぐアイデアはどうだろう? 春の大型連休には「こどもの日」(5月5日)が含まれる。古い言葉だが、情操教育の皮切りに適した雰囲気が漂っている。

■「オーケストラの少女」たちに

90歳代半ばまで現役を続けたレオポルド・ストコフスキー(1882~1977年)はレコード録音や放送、映画など20世紀前半の最新メディアを最も早く活用した指揮者だった。今年6月に来日する米五大楽団(ビッグファイブ)の一角、フィラデルフィア管弦楽団の音楽監督だった時期の1937年、ヘンリー・コスター監督の映画「オーケストラの少女」(ユニバーサル、原題は「ワン・ハンドレッド・メン・アンド・ア・ガール」)に楽員とともに出演した。日本でも同年に封切られ、クラシック音楽のファン拡大に絶大な効果を発揮した。

ストコフスキーとフィラデルフィア管はウォルト・ディズニーが40年に制作し、世界で初めてステレオ音響効果を駆使したアニメーション映画「ファンタジア」(ベン・シャープスティーン監督)の音楽も担当。ストコフスキーが米国初演したストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」や自身が管弦楽用に編曲したJ・S・バッハのオルガン曲「トッカータとフーガ」などの十八番で、華麗な「フィラデルフィアサウンド」を披露している。

子どもが初めてクラシック音楽を聴く際、モーツァルトやベートーベンの古典的たたずまい、あるいはパイプオルガンの壮麗な和音よりも近現代の作曲家の「はじけた」感じ、大編成のオーケストラのカラフルな響きの方が、より「入りやすい」ような気がする。

ヤニック・ネゼセガン指揮フィラデルフィア管弦楽団

フィラデルフィア管は2011年に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請後わずか1年で再建を果たし、12年9月には世界の楽壇が注目するフランス系カナダ人の指揮者、ヤニック・ネゼセガンを第8代音楽監督に迎えた。ネゼセガンは現在39歳。14歳で合唱指揮のキャリアを始めた。06年にロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就き、このコンビで2度来日。ドイツ・グラモフォン(DG)レーベルが制作した録音、録画も高く評価され、ドイツの新聞各紙は18年でベルリン・フィルの首席指揮者を退く意向を表明したサイモン・ラトルの後任の最有力候補にネゼセガンを挙げる。

DGがネゼセガンとフィラデルフィア管の組み合わせで制作した最初のCDのタイトルは、ずばり「ストラビンスキー ストコフスキー」。「春の祭典」をメーンにストコフスキー編曲のバッハが「トッカータとフーガ」「小フーガ」「パッサカリアとフーガ」と3曲、さらにストラビンスキーの小品「パストラール」で締める心にくいカップリングだ。

すべての音の線をくっきりと浮かび上がらせながら、根底に内在するリズムを最大限に弾ませ、メロディーをたっぷり歌いきる。その力量において、同世代の指揮者中のトップランナーだと断言できる。再建に成功した名門楽団の傑出した実力も存分に発揮される。

アート&レビュー 新着記事

ALL CHANNEL