働き方・学び方

僕たちはどう働くか

地方自治体はどのように運営されているのか 夕張市長 鈴木直道(5)

2014/3/4

 皆さんは自分の住んでいる地域でどのように物事が決まり、実行されているか知っていますか。簡単に言うと、選挙で市民が選んだ議員が議会で決定し、同じく選挙で選んだ市長が市の職員とともに執行するしくみです。そして「やるか、やらないか」という市役所としての最後の判断は市長が行います。そのため、市長には大きな権限があります。今回は破綻した夕張市の事情と、市長としての生活を紹介しながら説明したいと思います。

鈴木直道(すずき・なおみち) 1981年埼玉県生まれ。1999年東京都入庁。2004年、都庁に勤めながら4年で法政大学法学部法律学科を卒業。2008年夕張市へ派遣。2010年11月、夕張市市長選の出馬を決意し東京都庁を退職。2011年4月、夕張市長に就任(写真 編集委員 嵐田啓明)

■国、北海道との「伝言ゲーム」

 何度かお話してきたように、財政破綻した夕張市は、国、北海道と合意して決めた財政再生計画に従って借金を返しています。仮に大雨が降って橋が壊れ、急いで修理したいと思っても計画のもとに運営している夕張市では原則、「計画に乗っていない出費」なので国や北海道の許可を取らなければ決断することができません。

 「課題が起きたので、計画を変えてこうしたい」と伝えると北海道に一度行き、国に行き、許可され、再び市に戻ってきてやっと「じゃあ変えましょう」と実行に移すことができる、というプロセスが発生するのです。まるで、「伝言ゲーム」のようです。これでは、最初に伝えた数人には正しい言葉が伝わっても、伝える人数が増えれば増えるほど本来の意図とは形を変えてしまう可能性があるし、時間もかかってしまいます。

 また、「夕張の未来をこういうふうにしてほしい」という願いで市民が直接選んだ人たちのなかだけで完結できないのです。道議会議員や、国会議員は直接、もしくは間接的に選んでいますが、夕張市の市民は北海道庁や、国の職員を直接選ぶことはできません。地方分権、地域主権。そういうものが問われる今、相反するような環境を法で作ってしまっている。そして、このやり方で17年間という長い時間過ごすのです。当然のことですが、この法律は、財政状況が厳しくなればすべての自治体に適用されるものです。

 法律を変えることは、仮にやろうとすれば大変なエネルギーが必要になります。法案を成立させるためには、唯一の立法機関である国会で過半数を取らなければいけません。法律は法律としてあります。そこで、私は提案を出すまでのプロセスを変えることで、時間的な短縮や法の矛盾を補完する枠組みを作りたいと考えました。また、私たちの話を単に聞くのではなくて、北海道庁や国の職員にも、実際に自分たちの目で夕張を見てもらいたいとも思いました。

 そこで私は、派遣職員だったころ、このプロセスを改善したいと思い国、北海道及び夕張市による三者協議の場の設置を提案しました。以前ご紹介したアンケート(「夕張の現実は日本の明日」)をまとめた要請項目の一つに入れていたのです。その時は実現しませんでしたが、選挙を経て市長になり、実現することができました。

働き方・学び方

ALL CHANNEL