進化する介護機器 ベッドが車いすに早変わり…ロボット技術を応用

介護が必要な高齢者の生活を助けるための新しい介護機器が次々と開発され、注目を集めている。政府の成長戦略(日本再興戦略)にロボット技術を応用した介護機器の開発が盛り込まれたことや、介護現場の人手不足がその背景にある。どんなものが開発されているのか。普及は進むのだろうか。

職員1人でOK

ベッドの半分が車いすになる(大阪府寝屋川市のサンセール香里園で)

大阪府寝屋川市にある有料老人ホーム、サンセール香里園。ここで1台の特殊なベッドが試験導入された。

介護福祉士の佐々木仁史さん(52)はベッドに横たわる寝たきりの男性入居者(90)を片側に寄せ、ベッドを引っ張った。するとベッドが半分に分かれ、入居者を乗せた側が電動でいすの形に。いすの下には車輪がついており、そのまま手動の車いすに変身したのだ。男性を食堂や浴室に連れていくために使っている。

佐々木さんは「入居者をベッドから車いすに移すにはこれまで職員2人がかりだったが、これなら1人ででき、腰痛の不安からも解放される」と話す。

このベッドはパナソニックが開発した介護ロボットの一種で商品名は「リショーネ」。2014年度中に販売を始め、価格は100万円程度を予定している。

ベッドのすぐ脇に置くことができる高機能トイレ(福岡市の梅光園で)

福岡市にある特別養護老人ホーム、梅光園。ここでは1月、一人の入居者の居室のベッドのすぐ脇に試験的に水洗トイレを設置した。トイレへの移動が難しい人のためには通常、ポータブルトイレを置くが、においや後片付けの手間、利用者の心理的な抵抗感などの問題があった。とは言え水洗トイレを設置するには大がかりな工事が必要だ。

このトイレはTOTOが開発。排せつ物を粉砕し、圧力をかけて送り出す新たな仕組み部分がロボット技術の応用とされる。太い配管が不要で、細いホースをはわして排水ができる。工事も簡単になり、和室にでも水洗トイレが置けるという。

新型トイレを設置したのは笠トモエさん(96)の部屋。笠さんは「便座が温かくて気持ちいいし、ゆっくりできる」と満足げ。介護職員も「掃除のとき邪魔といった問題はあるが、においもなく、排せつ物を捨てにいかなくていいのは助かる」と話す。TOTOは16年度をめどにさらに改良を重ねて本格的な販売を始める予定。今は1台約53万円。