健康目的だけじゃない シニアスポーツ3つの新潮流

自治体の健康増進策などを受けてスポーツに魅了されるシニア世代が増えている。目的は健康維持に加え若さを夢見る「若返り派」、ニュースポーツに目覚める「お試し派」、勝負にこだわる「記録重視派」の3つ。ソチ五輪で葛西紀明選手が41歳で銀メダルを獲得したことも刺激になりそうだ。

葛西「銀」も刺激

練習に励む日本シニアチア協会オフィシャルチーム「JSCA」(東京・港)

「ワン・ツー・スリー・フォー、ゴーゴー」。ポンポンを手に、ミニスカートで踊る笑顔のチアガールは全員が49歳以上。「シニアチア」だ。

シニアチアは日本発祥で「今では全国で2000人ほどが楽しむ」(日本シニアチア協会)。あえてシニアらしくない競技を選ぶ「若返り派」の典型例だ。「葛西選手の頑張りをみて、自分たちも長く競技を続けたいという気持ちにつながっている」(千石和弘専務理事)という。

埼玉県草加市の多々井まさ子さん(65)は「心と体を若く保てる」と話す。6年前まで運動はほとんどしたことがなかったが「ミニスカート姿の60代女性が、生き生きと踊る姿に憧れた」。今ではラインダンスや前後180度の開脚ができるほどになった。

「『シニアチアを見て元気をもらった』と言われることが、やりがい」と話す東京都町田市の木村のぞみさん(71)は、以前はスポーツジムでエアロビクスやダンスをしていた。「チアで学んだことは人を思いやる大切さ。難しいダンスを演じられたときは本当にうれしい」と笑顔を見せる。

タックルやスクラムなどハードな動きが連続するラグビー。シニアラグビーでは60代以上はパンツを異なる色にして、タックルで倒さないようにするなどの工夫をしている。ただ、運動量が多いため、何歳になっても楽しめるよう、日ごろから筋トレなどで若さを保とうとする人が多い。

「同年代と比べて体力はあるし、若々しいと言われるのはうれしい」と話すのは、40代後半でラグビーを始めた神奈川県藤沢市の山田研一さん(64)。山田さんは藤沢ラグビー蹴球倶楽部(藤沢市)のシニアチームに所属し、毎シーズン、グラウンドを駆け巡る。チームメートには学生時代からラグビーを続けている人が多く、「みんなで青春を引きずっている」と笑う。

シニアのスポーツ人口の裾野が広がった背景には、国や自治体が積極的に推進する、運動による健康増進策がある。初心者でも簡単に始められるニュースポーツの用具を無料で貸与したり、スポーツ大会を頻繁に開催したりする自治体が増えている。

こうしたスポーツイベントを機に新たな競技に挑戦するシニアが「お試し派」だ。特にルールが簡単で、初心者でもすぐに競技ができるニュースポーツは、認知度が高まったものだけでも40~50種ほどあり、選択肢が多彩だ。

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