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人口減少とどう向き合うか 夕張市長 鈴木直道(4)

2014/2/18

 連載の第1回(「財政破綻は実際にどういうことなのか」)で、対象地区の住民から100%の合意を取り、住宅再編事業を進めていることに触れました。これに対して読者の方から、「住民が中心市街地に移転するのは地方都市の生きる道だと思う」「限界集落でも市民が引っ越さない。夕張はなぜ100%の同意を得ることができたのか」などのコメントをいただきました。読者の多くの方が関心あるテーマなのだと感じています。今回はこの「住宅再編事業」について取り上げたいと思います。

鈴木直道(すずき・なおみち) 1981年埼玉県生まれ。1999年東京都入庁。2004年、都庁に勤めながら4年で法政大学法学部法律学科を卒業。2008年夕張市へ派遣。2010年11月、夕張市市長選の出馬を決意し東京都庁を退職。2011年4月、夕張市長に就任(写真 編集委員 嵐田啓明)

■人口減少に対応したまちづくり計画

 市長に就任してすぐ、私は人口減少に対応したコンパクトシティーを進める計画(「夕張市まちづくりマスタープラン」)を策定しました。これは、今後20年で夕張の人口が半減することを前提とした全国初のプランです。

 人口減少は仕方がないことです。日本全体でみると、7年連続で人口は減少しており、自然減は過去最大を更新しています。日本の人口の10分の1以上が生活する首都東京も、東京オリンピック・パラリンピックの開催予定である2020年の翌年に人口が減少すると予想されています。北海道では一番大きな都市である札幌も、あと3年で人口が減少に転じるといわれています。そのなかで、夕張だけ人口が急激に増加することは客観的にみたら難しい。人口を増やすための対策はもちろん必要ですが、人口減少に対応したまちづくりを進めていくことも大切だと思っています。

 「全国初のプラン」と書きましたが、人口減少社会に突入している今日において、なぜ今まで、どこの地域でも作られてこなかったのでしょうか。

 人気投票、すなわち選挙で落ちてしまうからです。多くの住民が市長にやってほしいことは、人口が増えるような対策をすることです。企業を誘致し、観光に力を入れ、定住人口と交流人口を増やしてください。夕張であれば、最盛期の人口12万の頃に戻してください、という願いがあるのです。

 ところが、逆に人口は半減しますよ、申し訳ないけどあなたの住んでいるところはなくなってしまうのでこっちへ引っ越してくださいというわけです。そうすると、あなたにそんなことはお願いしていません、それよりも人口が増えるように努力しなさい。もしくは、自分の住んできた場所がなくなるってどういうことですか、と責められてしまいます。

 これまで、夕張市では人口が増えないにもかかわらず、増えることを前提に施設や制度を作っていました。私は人口減少に備えないことの方が市長として無責任だと思います。企業誘致ももちろんやっています。両方大切なのです。同時に進めなければいけないことも、理解をしてもらう必要があります。

■夕張の都市構造の課題

 都市計画を策定することは、私が市長に就任する前から決まっていました。私はそれを受け、単なる都市計画ではなく、人口減少に備え、将来都市構想とそのプロセスを市民とともに考え作っていく機会とするべく、マスタープラン策定に着手しました。マスタープランを作る策定委員会には、行政のメンバーに加え民間団体のメンバー、公募による市民も参加しています。また、実際に自分たちの住んでいる地域の将来像を共有して一緒に考えていくため、地域の代表者に参加してもらう地区懇談会も設けました。

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