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僕たちはどう働くか

夕張の現実は日本の明日 夕張市長 鈴木直道(2)

2014/1/21

 今働いている若者のなかには、高齢化や年金の問題、さらには夕張の今の状況も古い世代の遺産で、自分には関係がないことと思っている人がいるかもしれません。自分もそう感じていたという鈴木市長は東京都職員として夕張に派遣されたことがきっかけで「それは違う」と強く思ったそうです。若い世代がなぜ政治に関わらないのか。夕張から鈴木さんの声を届けます。
鈴木直道(すずき・なおみち) 1981年埼玉県生まれ。1999年東京都入庁。2004年、都庁に勤めながら4年で法政大学法学部法律学科を卒業。2008年夕張市へ派遣。2010年11月、夕張市市長選の出馬を決意し東京都庁を退職。2011年4月、夕張市長に就任(写真 編集委員 嵐田啓明)

■ゆでガエルになっているのに気がつかない日本人

 若い人が投票にいかない。政治に興味がない、という話があります。もし、若い人が「政治」に興味がないとしたら、それは「おしりに火が付いていない」んです。実は私もそうだったのですが、夕張にきて考えかたが変わったんです。

 私に市長選出馬の要請をしてきた人たちは7人いました。コンビニの店長だったり、土産物店の常務だったり、イベント会社の社員だったり。私が東京都職員として夕張市に派遣されていたとき、ボランティア活動や市のイベントで知り合った、仲間だった人たちです。

 彼らは子供が小さい上に夕張に家を買うとか、お店を経営しているとか、夕張自体がよくならないと自分たちも飯を食えない人たちでした。地元に根が生えて動けないんです。

 夕張から出て行ける人はみんな出て行きました。今残っているのは、いろんな事情があって出て行けない、一歩も動けない、という人たちです。そうなったら、夕張をよくするしかない。それまでは空気のように感じていた行政サービスに対しても「自分に関わっていること、生きていくことそのものだ」と考えるようになるのです。

 膨大な赤字を抱えているという点では夕張も日本全体も大して違わないはず。なのになぜか私たちは「日本」になるとおしりに火がつかない。

 問題がないのではなく、気がついていないだけなんです。お湯の温度が少しずつ上がっていくのに気がつかず、実はすごく熱くなってゆでガエルになっていて、気がついたらのぼせきっていた、ということでしかありません。

 私も同じだった。たまたま違う環境に行ったから気がついただけです。

■夕張に来て気づいた厳しい現実

 時々、「鈴木さんはすごい。よくやっているね」と言われます。けれど、私はどこにでもいる普通の一人でしかない。東京都に就職したときも、普通に一生懸命、真面目に働いていれば大丈夫だろう、それなりの退職金ももらえる、東京がつぶれるときは日本もつぶれるときだ……、そんなことを考えていました。

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