働き方・学び方

僕たちはどう働くか

夕張の現実は日本の明日 夕張市長 鈴木直道(2)

2014/1/21

勤務していた東京都が地方自治体としては少し珍しい自治体だったことも影響していたかもしれません。

■2008年、夕張市に派遣

地方自治体の職員は多くの人が自分の勤め先の所在地と、住んでいる地域が同じである場合が多い。夕張市に勤めている人は、夕張市民でもある、というふうに。でも東京都の職員は、埼玉や神奈川といった近隣の県から通勤する人が多かった。サラリーマン的というのか、会社に勤務するような気持ちで毎日を過ごしていました。

そんな日々が一変したのは2008年でした。東京都から夕張市に派遣されたのです。その前年、東京都は財政破綻した夕張市に東京都の若手職員を派遣することを発表しました。夕張市は破綻後、職員の退職が相次ぎ人手が足りなくなっていました。また、東京都にとっても破綻の現状を知ることで、学ぶものは大きいと考えていたのです。

知り合いも誰もいない夕張に派遣され、夕張に住んで夕張市で働くようになって、今まで持たなかった疑問を考え続ける日々になりました。それはこれまで意識もしなかった、「自分が日本人であること、法治国家のもとで生きているとはどういうことなのか」ということです。

「夕張再生市民アンケート」は、当時全世帯の2割に当たる計1170世帯から有効回答を得ることができた

犯罪被害に遭ったり、罪を犯したりしたら法律に興味を持つのかもしれませんが、皆さんは日ごろ、日本が法治国家であるなんてこと、あまり意識しませんよね。

でも、私は夕張に来て、国が決めた計画や制度のもとで生きることの厳しい現実を、毎日肌で感じるようになりました。

寝ても覚めても、夕張の人たちの生活がどうすれば少しでもよくなるのか、そればかり考えていました。今まではオンとオフがあって、職場では一生懸命仕事をして、仕事を終えて家に帰ればテレビをつけてくつろぐ。日々リセットするような、そんな日常ががらりと変わりました。

■全世帯にアンケート 市民の声を再生計画に反映

私の派遣期間は当初1年だったのですが、希望して1年延長してもらいました。仕事に慣れ、市民の皆さんと知り合うなかで、当時の「再建計画」に足りないものがあると感じたのです。

計画は国、北海道と夕張市が合意して決めました。勝手に変えることは難しかった。でもちょうど私の派遣期間が終わる2年目が、地方財政健全化法に基づき新たな財政再生計画(以下、再生計画)が策定される年に当たっていたのです。このチャンスに市民の声を届けたい――。そう思い、夕張市内の全世帯を対象としたアンケートを実施することにしました。

当時、全世帯を対象としたアンケートをやるには人手もお金もありませんでした。そこで、私は母校の法政大学や、何度か夕張で調査をしていた北海学園大学に協力を頼みました。こうして「夕張再生市民アンケート実行委員会」を立ち上げ、市民の皆さんに直接、生活での困りごと、再生計画に盛り込んでほしいことなどを尋ねることができたのです。

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