「財政破綻」は実際にどういうことなのか夕張市長 鈴木直道(1)

名画の看板などがならぶ夕張市内

財政が厳しいなら議員報酬をカットして身を切るべきじゃないか、ということもよくいわれます。夕張は260人いた市職員を半分以下の約100人にまで減らし、議員数も18人から9人に減らし、報酬も40%カットしています。身を切るところも徹底的にやったけれど、まだ足りない。だから市民に負担してもらっているというのが夕張の現実です。

日本で唯一の「財政再生団体」

夕張が日本で唯一の「財政再生団体」といわれるわけを説明しましょう。

地方公共団体の財政が苦しくなったときに備えて、50年以上前に作られた「地方財政再建促進特別措置法」という法律がありました。07年に破綻した夕張市はこの法律に基づき、353億円の赤字を18年間かけて返済する計画を立てました。計画に沿い、まず31億円を返すのです。

しかし、その後、夕張市だけでなく地方公共団体が厳しい財政状況にあることが相次いで発覚しました。そこで09年、総務省は前の法律を見直しました。財政の悪化が深刻になる前に早めの対策を取れるような、新たな法律を作ったのです(地方公共団体の財政の健全化に関する法律=地方財政健全化法)。

この法律では赤字比率などが一定の基準に超えた自治体は「再生計画」を作るよう定めています。この計画に沿って運営される自治体を「財政再生団体」と呼びます。

この新しい基準で10年初めて「財政再生団体」になったのが夕張、というわけです。

古い法律のもとで「財政再建団体」になった自治体は夕張以外にもたくさんありました。ただ、夕張は抱えた赤字の金額が半端ではなかったのです。自治体が自分たちの裁量で使える財源の8倍の借金を抱えていたのです。

行政サービスは空気のようなもの

基本的に行政サービスの存在は辛い立場になった人のほうが感じやすいものだと思います。普通に暮らせているうちはあまり意識しないけれど、体を壊して働けなくなって生活保護を受けたり、介護認定を受けてデイサービスを頼んだりするなど、ピンチを迎えたときに意識するわけですね。

税金を納めていても、日常生活のなかで私たちが「行政はサービスを提供するもの」と感じることは少ない。ところが夕張は、ひごろ意識もしなかった空気のような「サービス」が急に薄くなってしまったわけですね。だからみんなが“呼吸困難”を覚え、いろいろな場所から悲鳴が出てきたのです。

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