夕張市は北海道のほぼ中央に位置する都市です。夕張メロンでご存じの人も多いと思います。かつては明治24年の炭鉱開始以来、炭鉱の町として栄え、最盛期の人口は12万近くを数えていました。しかし、昭和40年代に入り、産業のエネルギー源は石油に変わります。炭鉱は次々に閉山し、人口も今は1万人を切りました。そして現在夕張市は、自治体の倒産にも等しい「財政再生団体」になった唯一の都市です。
先ごろも米デトロイト市の例がありましたので、自治体にも破綻があるのだということはおわかりだと思います。では借金が膨らみ、自治体が「倒産」したら人々の生活はどうなるのでしょうか。
「第2の夕張になるな」と口にする政治家もいるようですが、実際にどう変わるのか、分かっていない人が多いように思います。
破綻するとここまで変わる
破綻すると今まで当たり前で、空気のようなものだった「行政」を嫌でも意識します。最近、千葉市が2月からごみの収集を有料化し、1リットルあたり0.8円にすることを決めました。住民からは「生活できない」と苦情が殺到したそうです。このごみの収集、実は夕張ではその倍以上の1リットルあたり2円です。
生活に絶対必要な水も、私が東京にいたころ住んでいた目黒区の水道料金と比べると、倍くらいです。軽自動車は、コストが安く若い世代に魅力的な移動手段のひとつです。軽自動車の税金は自治体ごとに決められるのですが、夕張では破綻後に1.5倍になりました。
生活をしていれば徴収される市民税や道民税も、法律である程度上限があるとはいえ、ほかの自治体より上乗せされました。日本で一番高い設定になっています。
それだけではありません。仕事が終わったあと同僚とフットサルでもやろう、と施設を借りるとします。仮に利用料が今まで100円だったとしましょう。全国で同じ規模のフットサルコートが300円だとわかれば、夕張は破綻した自治体なんだから300円にしましょう、と施設利用料をあげられる。割安と思われるような料金はすべて高いところに倣って、上げられるのです。夕張は「全国で最高の負担、最低の行政サービス」といわれました。何も恩恵はなく、負担だけが増えたのですから当然でしょう。