若者の内向きを嘆くオッサンをこそ嘆くべきだNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹(7)

最近の若者は内向き志向である――。よくいわれていますが、本当でしょうか。

駒崎弘樹(こまざき・ひろき) 1979年東京都生まれ。99年慶応義塾大学総合政策学部入学。在学中よりITベンチャー経営に携わる。卒業後フローレンスをスタート、日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスとして展開。13年4月に内閣府「子ども・子育て会議」委員に就任。 一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2カ月の育児休暇を取得。

僕の友人で社会学者の古市憲寿くんは、2011年発売の著書「絶望の国の幸福な若者たち」(講談社)で「最近の若者は内向き」論について分析しています。

留学者率はバブル世代の2倍以上

古市くんによると、確かに日本人の海外留学者数は04年の8万3000人をピークに毎年減り続け、08年には23%少ない6万7000人にまで下がっています。しかし母数である日本の若者人口も、この間に減少しているのです。

留学生が多いと推測される20代の人口は、1996年から2010年にかけて3割近く減少している。留学適齢人口あたりの留学生数という「留学者率」で考えてみると、留学生の数はいまだに過去最高水準という見方ができてしまうのです。その割合は、バブル期の2倍以上(!)です。データ上では、「内向きだ」と嘆くおっさんたちの世代よりも、ずっと海外に留学していることになります。

思い切りグローバルなやつらが、実はいる

僕の周りを見てみると、思い切りグローバルな人たちがいます。

例えば人身売買問題に取り組んでいるNPO法人かものはしプロジェクトの村田早耶香さん。大学2年生のとき訪れた東南アジアで、母親が売春宿に売られたことでエイズに母子感染した少女と出会ったのがきっかけでした。この悲劇を知った彼女は、遠い海の向こうの国の話にも関わらず、立ち上がりました。

日本国内を講演で飛び回り、売買春について啓発を行いながら、寄付を集めました。コミュニティファクトリーという工房をつくり、現地の人たちが、観光客向けに生活雑貨を高級商材として売るのを助けました。雑貨はカンボジアにある天然素材、い草やココナツの葉を使います。これで貧しい家庭でも安定した収入が得られるようになり、子供を売ることが減ったのです。さらには現地警察への教育プログラムを提供することで、売春事業者の摘発も加速しました。

また例えば、アジアの最貧国バングラデシュで「e-Educationプロジェクト」を立ち上げた税所篤快くん。彼は東進ハイスクールの授業を衛星講座で受講し、大学に進学しました。これをバングラデシュでも応用したのです。

バングラデシュは日本以上に地域格差の激しい国です。でもこの遠隔授業を使うことで、バングラデシュの東京大学ともいうようなダッカ大学へ、貧しい地方都市の子供が見事合格するところまで手助けしました。

プロジェクトはパレスチナのガザ地区やルワンダの難民地区でも展開しています。担い手は第2の税所くんとも言うべき大学生たち。パレスチナとか難民地区とかに飛び込んでいって、東進ハイスクールみたいなことやっちゃうって、およそ常識から外れた度胸が必要だと思いますが、そういうことを大学生がやっちゃってるわけで、これがグローバルじゃなかったら、何なんだ、と。