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卒業後では遅い? 高まる大学・高校生の起業熱 在学中にビジネス立ち上げ

2013/12/3

こうした若者の動きの背景には、若手起業家を育成、支援する輪の広がりがある。

ベンチャー企業向けの採用支援サービスを展開するスローガン(東京都港区)は、2012年に中高生向けのキャリア支援「askawa(アスカワ)」を始動、起業家の話や海外留学体験談を聞ける場を提供している。

伊藤豊社長は「そもそも起業という選択肢を知らない若者が多い。世の中を知らないとブランド志向が強まるため、大企業を目指す傾向が強まる。他の道を教えることで、自分の判断で人生の方向性を決められる人が増やせる」と期待する。参加した高校生の中には、起業を目指して動き出した生徒もいるという。

■ベンチャー企業も起業家育成へ

ベンチャー企業が自ら起業家を育てようという動きもある。電動バイク事業を展開するテラモーターズ(東京都渋谷区)では、大学生インターンを多く受け入れる。“腰掛け”ではなく、大きな権限を与えて社員同様に厳しく鍛える。徳重徹社長は「優秀な人こそ、ベンチャーに就職するか新産業を立ち上げる起業をして、国を活性化させるために働いてほしい」と話す。

同社のインターン、慶応大2年の桑野泰輔さん(21)は「幼いころから漠然と起業に憧れていたが、徳重社長を間近で見ていると、生半可な気持ちでは成功できないと気付いた」と話す。「ビジネスの現場はつらいこともあるが、自分が社会を変えたいとの思いは変わらない。もっと経験を積んで何ができるのかを考え、30歳までに起業したい」

楽天も高校生にビジネスを教える取り組みを強化する。商業高校などを中心に電子商取引を教える「楽天IT学校」を08年から始め、導入校は累計40校になった。今年は英語による授業や海外販売を学ぶ授業も取り入れた。担当の黒坂三重執行役員は「起業家となる人を育てたい。すぐに起業に結びつかなくても、頭の片隅に楽天の授業で学んだことを覚えていてもらうことで、少しでも将来の役に立てば」と期待する。

■やりたいことないなら慌てないで

より多くの若者がチャレンジ精神を養い起業に挑戦できるするには、どのような環境が必要なのだろうか。一橋大イノベーション研究センターの米倉誠一郎教授は「起業リスクが低くリターンが大きい透明性の高いマーケット、そして、失敗を許容し何度もチャレンジできる社会が求められる」と話す。

日本が今後も発展するには「若者がどんどん新しいアイデアを出し、実現化のために何度も挑戦できる環境が不可欠」。昔に比べると環境は改善されつつあるというが、よりチャレンジしやすくするためには、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家を増やすのに加えて、身近なロールモデルも重要だと指摘する。「有望なベンチャー企業を金銭面だけでなく運営面で支援する人材も求められる」

ただ、やみくもに若い頃から起業することには疑問を投げかける。「成功するには、その道のプロフェッショナルにならなくてはならない。やりたいことが分からない若者は、哲学や古典などをもっと勉強してほしい。慌てることはなく、35歳までに明確なキャリアプランを描けるようになることが大切だ」という。

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