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卒業後では遅い? 高まる大学・高校生の起業熱 在学中にビジネス立ち上げ

2013/12/3

 安定志向から積極的な挑戦へ――。大学、さらには高校の在学中に起業に挑む若者が、少しずつ目立つようになってきた。若手ベンチャー起業家に対する投資家や企業の支援も充実しつつある。米シリコンバレーなどに比べれば若者の挑戦も支援体制もまだまだだが、変化は着実に生まれつつある。

自ら開発したサービスを、「モーニングピッチ」で投資家らに説明する男子大学生(東京都新宿区)

 「この新サービスは絶対に売れます。自信があります」

 11月中旬のある早朝。集まったベンチャーキャピタリストや大手企業の新規事業担当者ら約80人を前に熱弁をふるったのは、在学中の起業を目指している横浜市の大学2年の男子学生(20)だ。自ら開発した飲食店の予約アプリの魅力を懸命に訴えた。

■「学生なら失敗してもいい経験になる」

 発表の場となったのは、毎週木曜朝7時に東京・新宿の高層ビルで開く「モーニングピッチ」。起業したてのベンチャー企業などが投資を募るためのイベントで、ベンチャーキャピタリストの木下慶彦さん(27)らが今年1月に立ち上げた。口コミで評判が広まり、自分で考えたアイデアや開発した新サービスなどを知ってもらおうと、起業前の学生らも多く参加するようになっている。

 横浜の男子大学生は米シリコンバレーの風土に憧れ、大学に入学してすぐにアプリ開発を開始。今夏には現地を訪れ、若者が自分のアイデアを事業化しようと奮闘する様子に触れ、刺激を受けた。

 在学中に起業を目指す理由を「リスクがほとんどないから」と言う。「卒業を待っていては年齢が上がるばかり。失敗したら失業のリスクも出てくる。でも学生の段階なら失敗してもいい経験になる。やるしかないと思った」

 数は少ないが、高校生もいる。横浜市の高校1年、三上洋一郎さん(15)は、中高生のアイデアをネット上に公開し事業化に向け支援者を募るサービスを提供する、GNEX(東京都品川区)を中学3年で設立した。「いい大学に入り、いい企業に就職するという選択肢しか知らないのはもったいない。より多くの同世代の人に自分の可能性を知ってほしかった」

■中学生で会社を立ち上げる人も

 幸いタイミング良く投資家など支援者が見つかって起業できた。今は高校の授業が終わってから深夜まで、自分の会社の仕事をする毎日だ。「会社の運営はつらいこともある。しかし、大学卒業後にGNEXに就職したいと言ってくれる人もいるので、頑張って会社を大きくしたい」

 父親の純市さん(43)は「息子には楽しい人生を歩んでほしいが、不安はある」と打ち明ける。自身は会社員で、息子の起業に反対したことも。だが「安定を求める時代ではなくなっているので、自分で人生を切り開いていってほしい」と見守る。

 沖縄県うるま市の新垣晴太郎さん(16)も、中学3年でインターネットサービス会社を立ち上げた。「高校進学が数年遅れても、今得られるビジネス経験の方が大切だと思った」と話す。進学せず会社の運営に専念し「自分のアイデアがサービスとして世の中に出るのを見るのは楽しい」と語るが、起業だけが全てではないとも思う。「人生は長い。今一番やりたいことをやっているだけ。もしかすると来年は勉強がしたくなって高校に通っているかもしれない」と屈託はない。

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