外食店の偽装表示 食物アレルギー「どうすれば…」親の不安高まる

2013/11/26

安心・安全

ホテルや飲食店などで次々と発覚する偽装表示メニュー。今回の騒動にとどまらず、食品偽装はこれまでも何度も繰り返され、その都度、消費者は失望感を募らせてきた。食に関する安心・安全はどうすれば守れるのか。現状を2回にわたってまとめる。まずは外食でのアレルギー表示問題を追う。

成形肉にリスク

「悪質すぎる。偽装がどんな結果を招くか、想像したことがあるのか」。兵庫県の岸田真由子さん(41)は怒りを抑えられない。一連の騒ぎのなかで奈良県の旅館が、子ども向け料理で和牛と偽り、豪州産牛肉(成形肉)を使っていたと発表した。和牛にアレルギーがなくても、成形肉となれば別。和牛と信じて食べた場合、アレルギー発症リスクがある。

親子カフェ「il sole」のアレルギー対応ケーキ。卵や乳、小麦を除いて手作りする(東京都杉並区)

長男(10)が食物アレルギーに悩まされている。食事には細心の注意を払うが、それでも誤食で呼吸困難に陥り、自宅から緊急搬送されたこともある。外食するときは事前に調べて長男が食べられる料理を出す店を厳選する。「問題の旅館は使ったことはないけれど、あれが飲食店の常識だとしたら、何を信じて店と料理を選べばよいのか」

特定の食物(アレルゲン)を食べたときに、じんましんや腹痛、嘔吐(おうと)、呼吸困難などを発症する食物アレルギー。成長とともに有病率は下がるが、乳児の約10%は何らかの食物アレルギーを持つと推定されている。よく知られる7大アレルゲン(卵、乳、小麦、そば、落花生、エビ、カニ)のほか、大豆やバナナ、ゴマ、イクラなども原因となりうる。何をどのくらい食べると発症するかは個人差があり、子どもの健康を守るために親は日々苦慮している。

容器包装された加工食品はアレルギー表示が原則義務付けられている。ただ外食は表示義務が特にない。店やホテルの言い分が、外食する際の頼みの綱だ。

千葉市の会社員、中間智弘さん(33)の次男(4)は卵と乳のアレルギーを持つ。飲食店ではこれらを使ってなさそうな料理をまず選び、注文の際にアレルギーがあると告げて確認する。だがそれでも発症するという。食べてすぐに「口が痛い」と言い出したり、一度飲み込んだのに吐き出したり。外食先での発症は過去50回を超える。

「次男が欲しがるので親が食べているものを与えて発症するケースもある。でも多くは原因不明。注文を取る店員は知らないが調理段階で卵や乳を微量ながら使っていることもあるようだ。原材料や調理法をしっかり把握して表示してほしい」と中間さんは話す。

自主的に取り組む外食チェーンもある。カレーハウスCoCo壱番屋は9月にアレルギー対応メニューを全店舗に配布した。提供する各料理が7大アレルゲンを含んでいるか否かを一覧表で示している。2005年から7大アレルゲンを抜いたカレーを提供してきた。「アレルギーを持つ顧客が増え、よりきめ細かく対応することにした」(壱番屋の広報担当)

注目記事
次のページ
店の知識不足も