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「自衛隊の歌姫」に続け 越境する音楽家たち三宅由佳莉と斎藤圭土、マルティナス

2013/11/21

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普段の舞台から一歩外へ踏み出した結果、全く新しいファンの獲得に成功する音楽家が目立つ。「自衛隊の歌姫」と呼ばれる三宅由佳莉はメジャー・レーベルからのソロ・デビューを成功させた。

「就職の第1志望が自衛隊でした」と屈託なく語る三宅由佳莉(東京・上用賀の海上自衛隊東京音楽隊で)

ブギウギ・ピアノの兄弟連弾ユニット「レ・フレール」の弟、斎藤圭土はコンポーザー&ピアニストのソロ活動に手を広げる。リトアニアから現れたアコーディオンの新星、マルティナスは「認知度の低いソロ楽器」の魅力を様々な角度から伝えようと、バッハからレディー・ガガまでを収めたデビュー盤を世に問う。「越境する音楽家」たちの素顔に迫る。

第1章 三宅由佳莉、23万自衛官中ただ1人の歌手

ソプラノの三宅由佳莉は「3等海曹」、所属は海上自衛隊東京音楽隊である。2009年4月に新卒で入隊。自衛官23万人中で唯一の歌手として次第に知名度を上げ、フジ系列のテレビ番組が昨年から2度にわたって報道した結果、メジャー・レーベルのユニバーサルがCDデビューを持ちかけた。13年8月28日発売のアルバム「祈り~未来への歌声」(UCCY-1032)はたちまち、クラシックCDの売り上げランキングの1位に躍り出た。

三宅由佳莉「祈り~未来への歌声」

海自東京音楽隊の高野賢一音楽科長(1等海尉)によれば「以前は学生時代に吹奏楽をやっていた者などが自然に集まっていたが、ここ10~15年は音楽大学や音楽学科の卒業生が大半を占める」という。岡山県倉敷市出身の三宅も東京の日本大学芸術学部の音楽学科声楽コースへ進学したが、「最初から自衛隊にあこがれ、音楽隊に入りたいと思っていた」という変わり種。「普通の声楽学生なら、まずは選ばない進路」と笑う。入隊後は一般自衛官と同じ訓練を受けるので、体力にも自信はあるのだろう。「武器ではなく楽器を携えて市民に寄り添い、自衛隊を身近なところで理解してもらいたい」との意志は固い。

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