「中国の本質は何か」 歴史から読み解く10冊

2013/11/10

「現在だけを見ていては分からない」

現在の中国だけを見ていては分からないとの思いは研究者たちにこそ強いのかもしれない。岡本隆司・京都府立大准教授編の「中国経済史」(名古屋大学出版会、2700円)は先史時代から今日の改革開放までを扱った野心的な新著だ。

中国経済の特徴は権力と社会との間に政府・法令から自由な中間団体「幇(バン)」が存在することだと岡本准教授は説く。政府権力が統制を強める一方民衆の順法意識は低く、合法的な同郷団体も非合法な秘密結社の幇も存在する。そんな明・清時代の社会的構造が現在まで連続していて地下銀行などの問題を形づくっていると指摘している。

昨年9月の中国全土での反日デモを予言するように7月に出版されたのが「五四運動の残響」(ラナ・ミッター著、岩波書店、7000円)だ。訳者は近代中国史研究の吉沢誠一郎・東大准教授で中国ナショナリズムの研究などで知られている。大規模なデモや日本人商店への破壊行為など、1919年の反日デモの実態が2012年のそれに酷似しているのに驚かされる。近代から現代にかけての日本のイメージがどう一般に映って引き継がれているのか。今年は平穏だったものの再現することはないと考えるのは楽観的過ぎるだろう。丹念に歴史を追っていくことで初めて隣国の大国の性格が分かってくるのかもしれない。(電子整理部 松本治人)

中国外交 苦難と超克の100年

著者:朱 建栄
出版:PHP研究所
価格:1,470円(税込み)

日中二百年 支え合う近代 (東アジア叢書)

著者:劉 建輝
出版:武田ランダムハウスジャパン
価格:2,520円(税込み)

対立と共存の歴史認識: 日中関係150年

著者:
出版:東京大学出版会
価格:3,780円(税込み)

中国の強国構想: 日清戦争後から現代まで (筑摩選書)

著者:劉 傑
出版:筑摩書房
価格:1,680円(税込み)

日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021))

著者:毛里 和子
出版:岩波書店
価格:840円(税込み)

中華人民共和国史 新版 (岩波新書)

著者:天児 慧
出版:岩波書店
価格:861円(税込み)

日中和平工作の記録: 今井武夫と汪兆銘・蒋介石

著者:広中 一成, 今井 貞夫
出版:彩流社
価格:2,625円(税込み)

対論! 日本と中国の領土問題 (集英社新書)

著者:横山 宏章, 王雲海
出版:集英社
価格:777円(税込み)

中国経済史

著者:
出版:名古屋大学出版会
価格:2,835円(税込み)

五四運動の残響――20世紀中国と近代世界

著者:ラナ・ミッター
出版:岩波書店
価格:7,350円(税込み)


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