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歴史博士

「中国の本質は何か」 歴史から読み解く10冊

2013/11/10

劉傑教授は「中国の強国構想 日清戦争後から現代まで」(筑摩書房、1600円)も出版。19世紀末の日清戦争敗北後の中国が挽回のためにどんな国家構想を考えてきたかを通して考える。中国が将来の自画像を描くとき映し出す「鏡」としての存在が先駆けて近代化に成功した日本だったという。

近代中国が悩み続けた「異民族問題」

10月下旬に日本の中国研究者でつくる「新しい日中関係を考える研究者の会」が発足した。代表幹事、毛里和子・早大名誉教授の「日中関係 戦後から新時代へ」(岩波書店、800円)は戦後に焦点を絞った。両国の関係は2国間だけでは決まらない、特に米国の動向が東アジアを動かす大きな要因となってきたことを示している。

現代史からさかのぼって近代史通じての視点や経済通史の研究書も出版されている

天児慧・早大教授の「中華人民共和国史 新版」(同、820円)も扱っているのは1949年建国の中華人民共和国の歴史だけにとどまらない。習近平体制の唱える「中華民族の夢」をキーワードの一つにとらえている。中華民族という言葉自体、清末の改革派政治家による造語だという。20世紀からの中国を近代化、革命、ナショナリズム、国際的インパクト、伝統の5つのベクトルから再構成しようと試みている。

20世紀の日中戦争を新しい視点で読み解く研究も出てきている。中国の指導者だった蒋介石・中華民国総統が日本と自国との軍事力の差を客観的に分析し、巧みな外交手腕を発揮していたことが、公開された日記などで明らかになっている。日本側から当時の戦争を分析したのが広中一成・三重大学非常勤講師の「日中和平工作の記録」(彩流社、2500円)。新たな史料を駆使して知中派軍人だった今井武夫少将の水面下での工作を再現し、中国全土で戦いながら和平の道を模索する複雑な裏面史にスポットを当てた。

統一した大国でありながらいくつもの少数民族問題を抱える中国。北京で9日から始まった中国共産党の重要会議、党中央委員会第3回全体会議(3中全会)に合わせたかのように、天安門の車突入・炎上や山西省の連続爆破などの事件が発生している。

横山宏章・北九州市立大教授は「20世紀初頭から今に至るまで中国の為政者は異民族問題に悩まされてきた」と指摘する。清朝から中華民国への辛亥革命(1911年)は漢民族の復興を意味した。「民族平等」の理念と漢民族の社会的優位にある現実とは、中国経済の成長とともに矛盾が大きくなってきている。

横山教授と王雲海・一橋大教授との共著「対論! 日本と中国の領土問題」(集英社、740円)は尖閣諸島などの問題を扱っているが論争の背景にあるのは近代中国が抱えてきた「中華思想」だ。

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