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「中国の本質は何か」 歴史から読み解く10冊

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2012年9月の反日デモ以来、日本では「中国の本質は何か」を歴史的にとらえ直す著作が相次いでいる。共産党の支配層や権力闘争、政策評価といった視点から一歩距離を置いて、日中の研究者が100年、200年といった長期的な視点から「大国・中国」を解き明かそうという動きだ。昨年後半から現在までの研究成果を追った。

朱教授が描いた苦闘と克服の100年史

上海で現在拘束中の東洋学園大学の朱建栄教授が昨年10月に出版したのが「中国外交 苦難と超克の100年」(PHP研究所、1400円=税抜き・以下同)。朱教授は無事であることが伝えられているが、まだ解放されていない。中国近代史の始まりを1840年のアヘン戦争におき「中国・清王朝の国際的な無知が植民地化を招いた」としている。朱教授はこれまで日中関係などで積極的に発言してきており、時には中国政府寄りの発言が目立つと言われたこともある。本書では「中国の近代史観は一種の被害者コンプレックス」と説き、その意識から脱却するのが重要だと指摘する。

劉建輝・国際日本文化研究センター教授は「日中二百年―支え合う近代」(武田ランダムハウスジャパン、2400円)で近代西洋が中国に進出し始める1810年代から北京オリンピック、上海万博の2000年代までを分析した。清王朝末期から中華民国、中華人民共和国までの100年は「歴代政権のイデオロギーがまったく相反していても基本的には必死に『近代』を受容しようともがき続けていた」と言う。現在の中国をようやく形の上での近代国家が完成した段階とし、さまざまな深化や成熟はこれからだとみる。

日中若手の研究成果を東大の川島真准教授と劉傑・早稲田大教授が編さんしたのが「対立と共存の歴史認識 日中関係150年」(東京大学出版会、3600円)。2001年から始まった「日中若手歴史研究者会議」の活動の一部で「歴史認識」シリーズとしては3冊目になる。1871年に対等の条約として結ばれた「日清修好条規」を起点とした。美濃部達吉、幣原喜重郎から周恩来、西園寺公一、大平正芳ら20世紀の日中関係に大きな影響を与えた人物をテーマにしている。

劉傑教授は「中国の強国構想 日清戦争後から現代まで」(筑摩書房、1600円)も出版。19世紀末の日清戦争敗北後の中国が挽回のためにどんな国家構想を考えてきたかを通して考える。中国が将来の自画像を描くとき映し出す「鏡」としての存在が先駆けて近代化に成功した日本だったという。

近代中国が悩み続けた「異民族問題」

10月下旬に日本の中国研究者でつくる「新しい日中関係を考える研究者の会」が発足した。代表幹事、毛里和子・早大名誉教授の「日中関係 戦後から新時代へ」(岩波書店、800円)は戦後に焦点を絞った。両国の関係は2国間だけでは決まらない、特に米国の動向が東アジアを動かす大きな要因となってきたことを示している。

天児慧・早大教授の「中華人民共和国史 新版」(同、820円)も扱っているのは1949年建国の中華人民共和国の歴史だけにとどまらない。習近平体制の唱える「中華民族の夢」をキーワードの一つにとらえている。中華民族という言葉自体、清末の改革派政治家による造語だという。20世紀からの中国を近代化、革命、ナショナリズム、国際的インパクト、伝統の5つのベクトルから再構成しようと試みている。

20世紀の日中戦争を新しい視点で読み解く研究も出てきている。中国の指導者だった蒋介石・中華民国総統が日本と自国との軍事力の差を客観的に分析し、巧みな外交手腕を発揮していたことが、公開された日記などで明らかになっている。日本側から当時の戦争を分析したのが広中一成・三重大学非常勤講師の「日中和平工作の記録」(彩流社、2500円)。新たな史料を駆使して知中派軍人だった今井武夫少将の水面下での工作を再現し、中国全土で戦いながら和平の道を模索する複雑な裏面史にスポットを当てた。

統一した大国でありながらいくつもの少数民族問題を抱える中国。北京で9日から始まった中国共産党の重要会議、党中央委員会第3回全体会議(3中全会)に合わせたかのように、天安門の車突入・炎上や山西省の連続爆破などの事件が発生している。

横山宏章・北九州市立大教授は「20世紀初頭から今に至るまで中国の為政者は異民族問題に悩まされてきた」と指摘する。清朝から中華民国への辛亥革命(1911年)は漢民族の復興を意味した。「民族平等」の理念と漢民族の社会的優位にある現実とは、中国経済の成長とともに矛盾が大きくなってきている。

横山教授と王雲海・一橋大教授との共著「対論! 日本と中国の領土問題」(集英社、740円)は尖閣諸島などの問題を扱っているが論争の背景にあるのは近代中国が抱えてきた「中華思想」だ。

「現在だけを見ていては分からない」

現在の中国だけを見ていては分からないとの思いは研究者たちにこそ強いのかもしれない。岡本隆司・京都府立大准教授編の「中国経済史」(名古屋大学出版会、2700円)は先史時代から今日の改革開放までを扱った野心的な新著だ。

中国経済の特徴は権力と社会との間に政府・法令から自由な中間団体「幇(バン)」が存在することだと岡本准教授は説く。政府権力が統制を強める一方民衆の順法意識は低く、合法的な同郷団体も非合法な秘密結社の幇も存在する。そんな明・清時代の社会的構造が現在まで連続していて地下銀行などの問題を形づくっていると指摘している。

昨年9月の中国全土での反日デモを予言するように7月に出版されたのが「五四運動の残響」(ラナ・ミッター著、岩波書店、7000円)だ。訳者は近代中国史研究の吉沢誠一郎・東大准教授で中国ナショナリズムの研究などで知られている。大規模なデモや日本人商店への破壊行為など、1919年の反日デモの実態が2012年のそれに酷似しているのに驚かされる。近代から現代にかけての日本のイメージがどう一般に映って引き継がれているのか。今年は平穏だったものの再現することはないと考えるのは楽観的過ぎるだろう。丹念に歴史を追っていくことで初めて隣国の大国の性格が分かってくるのかもしれない。(電子整理部 松本治人)

中国外交 苦難と超克の100年

著者:朱 建栄
出版:PHP研究所
価格:1,470円(税込み)

日中二百年 支え合う近代 (東アジア叢書)

著者:劉 建輝
出版:武田ランダムハウスジャパン
価格:2,520円(税込み)

対立と共存の歴史認識: 日中関係150年

著者:
出版:東京大学出版会
価格:3,780円(税込み)

中国の強国構想: 日清戦争後から現代まで (筑摩選書)

著者:劉 傑
出版:筑摩書房
価格:1,680円(税込み)

日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021))

著者:毛里 和子
出版:岩波書店
価格:840円(税込み)

中華人民共和国史 新版 (岩波新書)

著者:天児 慧
出版:岩波書店
価格:861円(税込み)

日中和平工作の記録: 今井武夫と汪兆銘・蒋介石

著者:広中 一成, 今井 貞夫
出版:彩流社
価格:2,625円(税込み)

対論! 日本と中国の領土問題 (集英社新書)

著者:横山 宏章, 王雲海
出版:集英社
価格:777円(税込み)

中国経済史

著者:
出版:名古屋大学出版会
価格:2,835円(税込み)

五四運動の残響――20世紀中国と近代世界

著者:ラナ・ミッター
出版:岩波書店
価格:7,350円(税込み)

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