でも監督とお会いして「どういう風に演じていきましょうか」と相談したら「わかりやすくダメダメなキャラクターでいいです。暗いというより明るさで少しごまかしているような、そういうキャラクターにしてください」という指示をもらいました。そこは、自分が思っていたキャラクターとは違っていたので、その言葉を消化しきれないというか、すんなり入ってくるものではなかったです。

また、演じすぎるのもいやだな、という気持ちもありました。田中泯さんとの場面でもそうでしたが、橋爪(功)さんとの場面でもやり過ぎなんじゃないかなと思ったりしていました。

物語の最初の方でしたから、健太郎も(橋爪さんの話を聞いて)「ああそんなことがあったんだ」というのはあるんですけれど、そこから「おじいさんのことを調べたいんだよ」と自分から意欲がわいていくまでには、もうちょっと煮詰まったものがないと、と思ったんですね。だからその場面はそんなに涙ぐんで、という感じじゃないんじゃないかな、という葛藤もありました。

演技をすることの難しさ

自分の感覚と演出家が思っていること、お客さんの思っていることが合致しないことがあります。これはとても気持ちが悪いです。演じていても、できあがったものを見ても、自分のなかでは成立しているんだけれども、監督や視聴者が「それは違うよ」といえばそれだけの結果です。自分がどんなに満足して、いい芝居をしたと思っても、最後は周りの評価しかないんです。

ただ、はたして自分の気持ちを押し殺して監督と視聴者が求めるものをやり続けたら成功するかといえば、そうでもないような気もします。自分が今何を求められているかということと、自分のやりたい芝居というものを合わせて表現していくことは難しい。難しいけれど、それが大切なんだと思います。

※次回は12月11日(水)に掲載予定です。

メイク:MIZUHO(vitamins)/スタイリスト:池田尚輝

『永遠の0』 百田尚樹の同名ベストセラー小説を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを手がけてきた山崎貴監督が映画化。司法試験に落ち、進路に迷う佐伯健太郎は、祖母の葬儀で初めて祖父・賢一郎と血のつながりがないことを知らされる。健太郎はフリーライターの姉の取材を手伝い、特攻で戦死した実祖父宮部久蔵の生涯を調べるため、祖父の元戦友たちを訪ねていく。彼らによると祖父、宮部久蔵は天才的な零戦操縦士だったのに、なぜか「海軍一の臆病者」といわれていた。宮部が残した「謎」を解いていくと、驚くべき“真実”が……。2013年12月21日(土) 全国東宝系でロードショー。 
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